2015年5月19日に日経産業新聞が掲載した「大企業病を治したいなら、まず服装を変えよう」は、服装とイノベーションの関係について書いている。筆者は札幌生まれ、米ビートラックスCEOのブランドン・ヒル氏だ。
記事では、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校が研究した「スーツを着ている人の特性」を紹介。いわゆる大企業病に似た3つの特性があったということだ。
1. 権力を誇示したがるが、他の従業員とのコミュニュケーション量が少ない
2. 物事の詳細よりも概念的な考え方をしがち
3. 具体的なデータや事実ではなく主観に頼った決断をしがち
ネット民は「短パンタンクトップで出社するべき」と賛同
米国でも東海岸や大企業では、ビジネスの場でスーツを着るのが一般的。しかし一部の大企業では、イノベーションを生み出す西海岸のシリコンバレーにならい、カジュアルファッションを推奨する動きがあるという。
そういった流れを受けて筆者は、日本の企業にも「イノベーションを生み出したい企業は、思い切ってスタートアップ型ファッションスタイルを取り入れてみるのも良いかもしれない」と提案している。
この記事に対しては、暑さにウンザリしたネット民から賛同する声があがっている。2ちゃんねるに書き込まれているのは、かなり辛らつなスーツ否定だ。
「しかも満員電車で通勤ってね サディズム国家マゾヒズム国民ですな」
「クールビズなんてまさに社畜の群れのエクスキューズじゃないのかなあ 短パンタンクトップで出社するべき」
「イギリスみたいな寒い国で出来た文化の服を、日本みたいな高温多湿な場所に持ち込むこと自体が意味不明」
堀江貴文氏もソーシャルニュースアプリのNewsPicksに「あきらかにスーツだと生産性下がるね。特に夏場」とコメント。しかし同じNewsPicksユーザーからは、異論も出ている。
社会人は「そんなお気楽でイノベーションを生み出すとは思えない」
NewsPicksにコメントを寄せているのは、社会人がほとんど。有名大手企業の社員も目に付き、普段からスーツを着る機会が多い人たちのようだ。彼らが提起しているのは「服装を変えただけでイノベーションが起きるのか?」という疑問である。
「スーツを脱いでカジュアルに着替える。そんなお気楽で、大企業病が治り、イノベーションを生み出すとは思わない」
「イメージだけで言ってる適当な発言に聞こえる。こういう一側面だけを見た対処療法的な思考が、一番イノベーションから遠いと思う」
「大企業がカジュアルになったらイノベーティブになるかというとそんなことはなくて、カジュアルウェアのドレスコードを厳格に定めたりして、下らない作業が増えるだけだったりする」
2ちゃんねらーのような「このクソ暑いのに」という不満は、あまり見られない。それだけ着慣れているということか。経済評論家の山崎元氏は「四半世紀位もっぱらスーツの生活に甘えて、カジュアルと言われても何を着ていいか分からない、ツマラナイ親父になってしまいました」と懺悔している。
カジュアルに果敢に挑戦してみたものの、厚い壁に跳ね返された人もいた。ある男性会社員は大企業に勤務していたころに「職務規程にスーツ着用と書いてなかったので、Tシャツにジャケットで会社行ったら怒られた経験あり」と明かしている。
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