今日の誕生日の作家を紹介するこの連載。5月28日は『時間』『群棲』などの作品で知られ、芥川賞の選考委員も務めていた黒井千次さん(1932~)の誕生日です。
黒井さんは1955年に東京大学経済学部を卒業後、富士重工に入社してサラリーマンとして働きながら執筆活動を行っていました。そして1970年に、会社小説である『時間』で芸術選奨文学部門新人賞を受賞。富士重工を退社して執筆活動に専念し始めます。
会社小説である『時間』は高い評価を受けましたが、黒井さんが描くのは会社小説だけではありません。80年代の日本の家族を描き、著者の最高傑作との呼び声も高い『群棲』を1984年に出版し、谷崎潤一郎賞を受賞しています。その後も継続的に執筆活動を続け、1994年には『カーテンコール』で読売文学賞を受賞、2006年には『一日 夢の柵』で野間文芸賞を受賞するなど、今なお精力的に活動しています。
(新刊JP編集部)