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嵐、新シングル売上げでまたも横綱相撲 時代に対応した音楽性と支持層の厚さを読む

2015年05月23日 19:31  リアルサウンド

リアルサウンド

『嵐はなぜ史上最強のエンタメ集団になったか』

参考:2015年5月11日~2015年5月17日のCDアルバム週間ランキング(2015年5月25日付)(ORICON STYLE)


 嵐が横綱相撲の50万枚でトップに。2位のEXILE系さんとは10倍以上の差が付いていらっしゃいます。これはすごいんじゃないでしょうか。ちなみにEXILE系の皆さんは、ミュージックカード等が売り上げの集計対象から除外されるようになったので、CDをコンサート会場で買うとファングッズのあたるスクラッチカードがもらえるなど、さまざまな新機軸に活路を見出そうとしていらっしゃいますが、ひとまず今週の売り上げチャートの結果を見る限りにおいては、そうした施策の効果のほどは窺い知れないところであります。


参考:YouTube、過去10年の再生ランキングから見えた傾向とは? AKB48らの作品から考察


 さて話は嵐に戻るわけですが、2014年以降に出されたシングルは連続して50万枚を超えております。このペースでシングルを出し続けると、いったんアルバムを出してシングル攻勢は小休止し、1年くらいのインターバルをおいてまたシングルを出すというのがここ数年の嵐のやり方なのですが、とりあえず今年はシングルで押していく年、ということになるのでしょうか。世間での楽曲の認知もそこそこといったところでありまして、各楽曲がリリースされるとチャートの200位以内に平均して20回以上残るようになっております。1位を獲ったものの、わずか3週程度で圏外に消えていくようなスタートダッシュしかないシングルも多い中で、嵐の作品はそこそこのロングヒットを連発していると言ってもいいのでしょう。


 そしてまた、嵐は特典商法をやらないというのでオリコンの社長から褒めちぎられたりもしております。売り上げチャートを作ってる会社の偉い人が特典商法がないから嵐は偉いとか言っちゃうのもどうかと思うのですが、とにかくそういうことらしいです。まあ嵐にしても初回盤と通常盤の両方にファン垂涎の豪華特典が付いてるからこれは両方買うでしょというものなわけでして、ていうかそもそも特典商法じゃないからってその曲の良さが保証されたと考えちゃうわけにもいかないんだし、別にそんなのどうでもいんじゃねと思う次第であります。(参考:朝日新聞デジタル『オリコン50年「ランキングに不純物は入れたくない」』)


 では、今回の楽曲であります「青空の下、キミのとなり」はどんな曲かと言いますと、冒頭から抑えたEDM感をうまく展開し、シンセ使いやファンカラティーナなどを連想させるギターやパーカッションで80年代っぽさもフォロー。オートチューンなんかも微弱に使ってみせてますし、この地味ながらも「よく耳すまして聴いとけやお前ら」と言いたげなさりげないアピールは玄人筋にも納得の内容ではないでしょうか。


 そしてAメロ、Bメロ、サビという流れがとにかくスムーズでテンポよく、それぞれに方向性が微妙に異なるにもかかわらず、このつなぎっぷりは前山田健一とか今どきの「短時間でジェットコースターのようにめくるめくオモシロ要素を見せる」「飽きさせない」タイプの楽曲に仕上がっていると言っていいかなと思います。そんなわけで一部でダンスがちょっと古くさいのではとか言われていたような気もするわけですが、こと楽曲に関しては今の時代にもきちんと対応しているなあと思うわけであります。しかしこの手の「飽きさせない」曲は今どきはネットでサクッと聴くのに向いているのは当然でありますから、もっとYouTubeなどで公式が爆押ししていってもいいんじゃないかナーと思うのでありますが、遠大な戦略に基づいてコトを進めているであろうジャニーズさんにそこまで望むのは欲張りすぎでありましょうか。(さやわか)