若者が「恋愛離れ」していると言われて久しい。少子化の一因ともされ、地方自治体が「街コン」や「婚活支援」に乗り出すなど社会的にも対策が講じられている。
そんな中、アメリカの大学で教鞭を採るWilly氏のブログエントリー「若者が草食化した本当の理由」が話題になっている。投稿されたのは2014年10月だが、ツイッターなどで最近、このエントリーを元に様々な意見が交わされているようだ。
大学生の生活費は過去最低。恋人との散財は「叶わない贅沢」
この投稿で「恋愛しない理由」として挙がっているのは、「大学生は恋愛できないほど経済的に貧しくなってしまった」ということだ。根拠となっているデータは「私立大学新入生の家計負担調査」である。
ブログのデータは少し古いものなので、数字を2014年度版にアップデートして紹介する。大学生が受け取る毎月の仕送り額は、2000年度に11万9300円だったが、14年度は8万8500円にまで下がり、過去最低を更新している。
家賃は00年からほぼ横ばいなので、仕送り額に占める家賃の割合は69.6%にまで高まり、こちらは過去最高となった。仕送り額から家賃を除いた生活費は2万6900円で、1日あたり897円と初めて900円を切ってしまった。これももちろん過去最低だ。
Willy氏はブログの中で、この実態をこう論評している。
「今では、週10時間程度のくらいのバイトはむしろ生活費を補うために必須であり、彼氏・彼女と遊びに行って散在するなどというのは、叶わない贅沢なのだ」
「生活費は仕送りで賄い、サークルや恋愛の出費は少し授業をさぼりながらバイトで賄った20年前の大学生の経済事情とは隔世の感がある」
「食費削って音ゲーやソシャゲに消えてる」
この投稿には賛同する意見も多く、「割り勘のデートもできないよねぇ」「自由に遊べるほど金持ってる奴なんてごく少数」といった声が多く出ている。
さらに、「将来を諦めてるから余計なことをしたくないだけ」と、もはや自分一人だけがいま生活するだけで精一杯なのだという人もいる。
確かに1日約900円と、授業の合間のバイト代だけでは、できることは限られる。かつては当然のように選択肢に入っていた恋愛が「削減対象」になるのも頷けるかもしれない。
さらに「金を使う選択肢」が恋愛以外に増えていることを指摘する人も多い。
「そりゃー食費削って音ゲーやソシャゲに消えてるんですもの」
「酒、タバコ、車以外の娯楽の選択肢は20年前と比較したって格段に増えてるからなあ。全部こなしきれないくらいには」
「僕のタイムラインにいる大学生くらいの歳の女の子とかはゲームとかコスプレとかラーメンとかアニメグッズに金使ってる」
昔は「金のかからないデートしてた」という声も
こうした多様な「娯楽」が、恋愛に割くお金や時間を奪っているというのだ。お金や時間を割くべき趣味があれば、恋愛の優先順位が下がることもあるだろう。その一方で「誰かを『好きになる』のに金って必要か?」という反論の声もある。
極貧下宿住まいで「歯磨き粉を食べて空腹をしのいだ」父親を持つユーザーからは、「それでも俺、生まれてきたわけなんだけどなぁ」。お金は本当になかったけど「金のかからないデートしてたよw」と大学生の頃を振り返る人もいる。
ただ「今日電車内でJKが金の無い男とは恋愛できないとか言ってた」「俺も低収入の女性とは恋愛できないし、お互い様だな」というとおり、恋愛の形が変わっている可能性もある。
オーネットが2015年の新成人600人に調査した結果では、全体の74.3%が「交際相手がいない」と回答。00年は52.7%だったので、恋愛をしていない新成人が20ポイント以上も増えている。交際経験自体も「1度もない」が47.8%を占める。
00年は90.0%だった「交際相手がほしい」という人の割合も、15年は62.6%にまで減少。女性に限っても60.4%と過去最低を更新している。欲求自体が弱まったのか、それとも諦めてしまったのか。
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