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ビアンキ父「状況は停滞、最悪のシナリオも考える」

2015年05月23日 00:10  AUTOSPORT web

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ジュール・ビアンキ(マルシャ)
ジュール・ビアンキの父、フィリップ・ビアンキは、息子の最悪のシナリオについても考えることがあると語った。

 ビアンキは昨年の日本グランプリで頭部に重傷を負って以来、8カ月におよび入院生活を続けている。彼は最初の2カ月を四日市の病院で過ごしたが、その後は地元ニースの病院に転院し、今も懸命な治療を受けている。

 父親のフィリップは、すでに人工的な昏睡状態から脱しているにもかかわらず依然意識を取り戻さない息子への思いを、母国フランスの「Canal+(キャナル・プリュス)」に、次のように明かした。

「まず第一に、ジュールは生きているということ。それが私たちにとって一番重要なことです」とフィリップ。
「彼は自分の持っている武器で闘っていますが、今はそれが神経学的にどれだけ可能性のあるものなのかは分かりません」

「彼の闘っている姿は多くの希望を、彼の愛する人に与えます。これは私たちにとって大事なことです」
「たとえ、奇跡を望んでからしばらく経ったとしても生きている限り希望はあります。毎日はつらいですが」

「状況は停滞しています。ジュールの神経学的な進展は私たちが望んでいたものではありませんし、毎朝起きるたびにジュールの命について考えることもあれば、死についても考えます」
「様々なことが起こりうることは分かっているので、死についても考えなければなりません。それは苦しいことです」

「誰もが皆、10月5日のあの日で止まったままだと思います。こんなことは決して望んでいたことではありませんし、ジュールも病院のベットで過ごすことなど望んでいません。これは彼の人生ではないし、私たちが望んでいたものでもありません」
「ですが、私たちは希望を持たなければならないのです」

 ビアンキが9位入賞を果たし、マルシャ(現マノー・マルシャ)にチーム史上初のポイントをもたらした昨年のモナコGPからちょうど一年が経つ。
 今も当時の仲間が多く働くマノー・マルシャは、今週末のモナコGPでビアンキの功績に敬意を示すものとして「MONACO 2014. P8. #JB17」と記した特注の赤いリストバンドをつけている。

 フィリップは、モナコからわずか20kmの場所にいるビアンキが多くの人々の想いを感じていることを願っている。
「F1でポイントを獲得することはジュールの夢でした。そして、彼はマルシャでそれを成し遂げました」
「私もその場にいました。そしてレースを終えた彼は一番初めに私の腕に飛び込んできてくれました。本当にうれしかったですし、本当に素晴らしい瞬間でした」

「あのような事故にあったにもかかわらず、ジュールはまだここで戦っているのです」
「彼のことを想っている人たち全員がジュールに強さを与えていて、彼はそれを感じることができる。美しいことです」
「私たちもそれに感動しています」