YEN TOWN BANDが活動を再開することがわかった。
YEN TOWN BANDは、1996年に公開された岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』の劇中に登場する架空のバンド。映画の主人公・グリコを演じたCharaがボーカルを務め、映画音楽を手掛けた小林武史がプロデュースを担当している。1996年に岩井が作詞で参加したシングル『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』とアルバム『MONTAGE』を発表しているほか、2003年にイベントに出演し、初ライブを行った。
約12年ぶりの活動再開となる今回は、7月26日から新潟・越後妻有地域で開催される『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015』の最終日前日となる9月12日に新潟・まつだい「農舞台」でライブを開催。チケット発売日などの詳細は、本日5月22日にオープンしたYEN TOWN BANDのオフィシャルFacebookおよびTwitterアカウントで後日発表される。
小林は今回の活動再開について「イベントで一度ライブを行ったことはありますが、その時はあくまでイベント出演に応じたということであり、今回が本当の活動ということになると思います。劇中の架空のバンドに命を吹き込んで出来たのがYEN TOWN BANDですが、映画『スワロウテイル』と同様に、20年近く経っても古くなっていない。アジアや(一部)ヨーロッパ等でも時代を超えて高く評価されている。その普遍性に新たなミッションを加えてYEN TOWN BANDという伝説的な入れ物に新たな魂を吹き込んで行きたい」とコメント。なお、同バンドは新曲も制作中だという。
■岩井俊二のコメント
「スワロウテイル」が公開されたのは1996年。来年で二十年が経つ。
この映画の舞台は円都(イェンタウン)と呼ばれる架空都市。物語のテーマはお金=貨幣だった。
この映画は僕の中でずっと社会を見るひとつの物差しのようなものとして残り続けた。
時代の様々な局面で、今、ここがイェンタウンだったら、と、想像を巡らせることが多かった。
今、ここがイェンタウンだったら、どんな人々がどんな暮らしをするだろう。どんな冒険が待ち受けているのだろう。
そんなことを想像してみるのが、自分の癖のようにすらなっていた。
これは僕だけではない。きっと小林さんの中にもあった。
現実をイェンタウンと重ね見る行為。
そこから何か新しいイマジネーションやクリエイションは生まれないだろうか。
そんな会話も長い間お互いの間で、幾度もなされて来たのだが、ここに来て、にわかに具体的になってきたのは、やはり時代の流れとしか言いようがない。
この穏やかならぬ時代なればこそ‥‥。
こうしてイェンタウンバンドが二十年ぶりに動き出すことになった。
活動再開、と呼ぶべきか、そもそもが架空のバンドだったので、リアライズ、とでも言うべきか。
ともかく、二十年の歳月を経て、僕らの中でイェンタウンが再び胎動を始めたのは間違いないようである。