F1第6戦モナコGPの初日、フリー走行2回目(FP2)は生憎の雨に見舞われてしまいました。各車フリー走行1回目(FP1)でソフトタイヤを履いてのロングランは行いましたが、スーパーソフトタイヤでの走行を行うことができず、明日以降の展開を現時点で予想するのが、非常に難しくなってしまいました。
しかし、ここはモナコ、モンテカルロ市街地コースです。“絶対に抜けない”と言われるほど、オーバーテイクが困難なコース。ロングランのペースを軽視していいわけではありませんが、トラック上での順位、つまり予選での順位が、いつも以上に重要となってくるわけです。
ここでも速さを見せているのは、やはりメルセデスAMGです。ルイス・ハミルトンはFP1、FP2ともに最速タイムを記録。その速さを改めて見せつけています。前回のスペインGPで今季初優勝を果たしたチームメイトのニコ・ロズベルグは、FP1は9位、FP2はハミルトンから0.7秒遅れの2位と、若干差を付けられた印象です。ソフトタイヤでのロングランのペースも、ハミルトンから0.7秒程度遅いものでした。ただ、ロズベルグはここモナコを得意としている上(2013年から2連覇中)、この日ハミルトンに遅れを取ったのは「渋滞に捕まってしまった」からだと、セッション後のコメントで明らかにしており、まだまだペースアップが可能であることを示唆しています。メルセデスAMGのチームメイト同士による、激しい先頭争いが繰り広げられそう、と言わざるを得ません。
メルセデスAMGの次に速そうなのは、フェラーリの2台です。ただ、FP2でのセバスチャン・ベッテルは、ベストタイムでハミルトンに約1秒遅れを取ってしまっている状態。「マシンの感触はOKだ」と言ってはいるものの、さすがに差が大きすぎるように映ります。キミ・ライコネンは「タイヤに熱を入れるのが難しい」と、まだまだセッティングに苦労している様子。ソフトタイヤでのロングランも、安定こそしているものの、メルセデスAMGとの差は大きく、太刀打ちするのは容易ではないと思われます。
そのフェラーリを苦しめそうなのが、レッドブルとトロロッソの4台です。4人のドライバー揃って、フェラーリに接近するペースでの走行を記録しています。FP2でのベストタイムも、ダニール・クビアト(レッドブル)が5位、カルロス・サインツJr.(トロロッソ)が6位、マックス・フェルスタッペン(トロロッソ)が7位。パワーユニットのマイレージは大きな不安要素(レッドブルのふたりとフェルスタッペンは4基目、サインツJr.は3基目)ですが、上位を狙うチャンスとなるレース、と言うことができそうです。
いつもはフェラーリのすぐ後ろのポジションにつけるウイリアムズは、FP1、FP2共にベストタイムでは下位に沈みました。ただ、フェリペ・マッサのFP1での連続走行は、非常に安定したもの。メルセデスAMGには劣るものの、フェラーリ、レッドブル、トロロッソの3チームには非常に接近しており、表彰台を争う、非常に僅差の戦いが繰り広げられることになるかもしれません。
さらにここに加わってきそうなのは、ロータスのパストール・マルドナドです。マルドナドはFP1で6番手だったのはさることながら、平均ペースもまずまずといったところでした。マルドナドはF1昇格後はモナコでは目立った成績を残せていません(最高位は2011年の18位)が、GP2時代には挑戦4回で2勝+2位1回と、非常に得意としている印象。土曜日以降も注目したいドライバーのひとりと言えるでしょう。
マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソも、マルドナドに匹敵するペースで走行しました。ホンダはこのモナコに向け、ドライバビリティの改善に注力してきたと言います。この効果が出たのか、アロンソのペースは印象的なものでした。マクラーレンのチーム代表エリック・ブーリエも、アロンソのペースの良さに期待している旨をコメントで発表しています。ジェンソン・バトンはマシントラブルにより走行を重ねることができませんでしたが、マクラーレン・ホンダがどこまでポジションを上げてくるのか、こちらも要注目と申し上げておきましょう。
フォース・インディアとザウバーは、ここまで挙げてきたチームからは遅れているといった印象。今回入賞を争うのは、難しいかもしれません。ただ、最初に申し上げたように、ここはモナコです。何が起きるのか、最後まで分からないのです。
メルセデスAMGが最速だとはいえ、その後方は大接戦という様相を呈しているように見えたモナコGP初日。土曜日以降の展開からも、目が離せません。まずはフリー走行3回目での、スーパーソフトタイヤを履いてのペースにご注目ください。
(F1速報)