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2歳の娘に「産まなければよかった」と暴言を吐く妻ーーもし離婚したら「親権」は?

2015年05月22日 10:02  弁護士ドットコム

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「産まなければよかった」「いらない子」「死んでしまえばいい」ーー。そんな暴言を、自分の娘(2歳)に向かって口にする女性がいるという。彼女の夫は「離婚したほうがいいのではないか」と考えていて、「私が親権をとりたいと考えていますが、こうした暴言があった場合、有利になりますか」という相談を、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに投稿した。


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かんしゃく持ちの妻は、直接の暴力こそないものの、夫や子どもに対して、聞くにたえない暴言を吐くのだという。夫は、その一部を録音するとともに、暴言を吐いた日や内容をカレンダーに記録している。



これまでも育児に積極的にかかわってきたという夫。個人事業主で仕事の都合がつけやすく、実母の協力も得られるため、仮に離婚しても、子育ての環境を整えることができるのだという。そこで、夫が親権をとって、娘を手元において育てたいと考えている。



相談者の妻のように「子どもに暴言を吐く」行為は、親権争いにおいて、なんらかの影響があるのだろうか。妻の「暴言癖」は、子どもの親権を取りたい夫にとって、有利な事情になるのだろうか。近藤公人弁護士に話を聞いた。



●親権の判断で重要な「母性優先の原則」


「子の親権は、子にとってよい環境はどちらなのか、つまり、子の利益(子の福祉)という視点で決めていきます。その際に考慮されるのは、次のような事情です。



親側の事情として、生活歴、就労状況、経済状況、心身の状況、家庭状況、監護補助者の状況、監護方針があげられます。また、子側の事情として、生活歴、過去の監護・養育状況、心身の状況、現在の生活状況をみて判断されます。



それらにあわせ、(1)監護の継続性(2)母性優先の原則(3)監護能力(4)面会交流の許容性(5)子の意思(おおむね10歳以上の場合)を重視したうえで、最終的な判断がなされます」



相談者のケースでは、どのような判断となるのだろうか。



「2歳の娘さんですので、特段の事情がなければ、『母性優先の原則』が適用され、妻が親権者を持つことになるでしょう。一時的な暴言だけでは、それが一時的なストレスなのか、またはそれが教育の一環としての躾なのかわからず、妻の監護能力を否定することにはなりません。したがって、暴言があっただけでは、有利とは言い切れません。



しかし、相談者にとって有利な事情の一つには、なり得るでしょう。具体的な事情がわからないので判断できませんが、暴言の内容や頻度が強く、子の妻に対する親和性がないようであれば、妻の監護能力が否定され、夫が親権をとることが可能かもしれません。



もし、親権を確実にとりたいというのであれば、離婚前に妻と別居して、夫が娘と暮らし、実母の協力を得られている生活環境を作ったほうが良いでしょう(監護の継続性)。ただし、別居の際、妻から娘を勝手に連れ去ったと言われないように配慮してください」



親権の判断には「母性優先の原則」という大きな難関があるということだが、父親が親権を獲得するために、取りうる手段がないわけではないようだ。



(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
近藤 公人(こんどう・きみひと)弁護士
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。

事務所名:滋賀第一法律事務所
事務所URL:http://www.shigadaiichi.com/