2015年05月20日 23:01 弁護士ドットコム
無人飛行機「ドローン」を集めた国内初の展示会「国際ドローン展」が5月20日、千葉市・幕張メッセで開幕した。国内外のメーカーなど50社・67ブースが出展。ドローンの活用を目指す事業者や、ドローンの開発・設計者らが会場を訪れ、各社の技術を見て回っていた。開催は22日まで。
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ドローンは今年4月、首相官邸屋上で発見されたことなどから「規制論」が一気に盛り上がりを見せている。東京都が都立公園・庭園での使用禁止を通知したほか、自民党が国会など重要施設の上空を飛行禁止にし、違反者に刑事罰を科す素案をまとめたと報じられている。
ただ、「規制」を考えるためには、そもそも「ドローン」とはいったいどんなものなのか、そしてどのように利用されようとしているのか、その現実を知っておくべきだろう。ドローン展を歩いてみた。(取材・渡邉一樹)
5月20日午後、幕張メッセの国際展示場は、スーツ・ワイシャツ姿のビジネスパーソンでごった返していた。国際ドローン展は日本能率協会が主催する展示会「TECHNO-FRONTIER 2015」の一部となっている。
会場には大きさ、形、利用目的が違う多彩なドローンが展示されていたが、まず目に入ったのが「スマートフォン」を搭載した小型のドローンだった。
この製品は、研究者・開発者が、ドローンの多様な利用方法を研究するために使う「開発キット」としてつくられたものだという。参考用として、スマートフォンのカメラで人間を認識して追跡したり、障害物を避けたりするリファレンスアプリが付属しているが、技術者が自分でプログラムを書いて、好みの用途で使うことを想定している。今夏発売予定で、価格は10万円以内とのことだ。
本体にプロペラが4~6個ついた形状が多いなか、「飛行機型」のドローン=写真左=も目を引いた。こちらは研究開発機で、将来的には時速150キロ・航行距離100キロで飛ぶことを目指しているそうだ。
セキュリティ会社による「小型飛行監視ドローン」=写真右=も展示されていた。こちらは、通常の建物セキュリティシステムのオプションという位置づけ。侵入者がセンサーに引っかかった場合に自動で出動し、侵入者を見つけて撮影。その画像をセキュリティ会社に送信する。人間が駆けつける前の状況把握や、不審な車のナンバー撮影といった使い方が想定されているということだった。
会場にはそのほかにも、自然災害・事故の際に人が入れない場所を撮影するための機体や、山岳エリアに荷物を運搬することを想定したドローン、高速道路のヒビなどを点検するためのドローン、純粋なレジャー用など、さまざまな用途・形状のドローンがずらりと並んでいた。
会場の一角には、緑色の安全ネットに囲まれた「実演エリア」もあった。中にいた担当者に聞いてみたところ、たまたまちょうど飛行させるタイミングだったそうで、その様子を撮影させてもらうことができた。飛ばした機体はレジャー用で、重さはわずか400グラム。タブレットやスマホのアプリで操作するのだという。
動画1:https://youtube.owacon.moe/watch?v=p4014K8FnA4
動画2:https://youtube.owacon.moe/watch?v=-dxDJ6vngWo
動画3:https://youtube.owacon.moe/watch?v=yJoQHCuCAws
さすがレジャー用というだけあって操作もかなり単純化されているようで、今日展示会場で初めて触ったという女性が、すいすいとドローンを操っていた。キュンキュンとモーター音をさせながら、軽快に飛びまわる様子は、かなり「遊び心」をそそられた。
こうした「ドローン」は、どのように規制していくべきなのだろうか。会場の人たちに「ドローン規制」をどう思うかと聞いて回ったところ、「飛ぶものは必ず落ちるので、安全という意味でも、規制は考えていかないといけないですね。無尽蔵に飛ばれても困りますし」
「メーカーとしては規制に従うしかありません。何らかの規制が入るのは当然と思います」といった反応が寄せられた。
一方で、過剰な規制を懸念する、次のような声もあった。
「ガッチガチな規制になると、技術の発展を阻害してしまいます。たとえば、ラジコンヘリの愛好家たちは以前から、お互いにマナーを教え合いながら、他の人に迷惑をかけないように自主規制をしてきています。
ドローンは初心者でも飛ばせるので、一気に人が入ってきた、というのが現状でしょう。ユーザー側がモラルを高めて、他人に迷惑をかけないようにし、ガチガチすぎないルールの上で使えるような世の中になってほしいと思います」
(弁護士ドットコムニュース)