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吉井和哉が「TRIAD」復活イベントで決意表明 「日本のロックをこれからも築いていきます」

2015年05月20日 19:41  リアルサウンド

リアルサウンド

『TRIAD ROCKS -Columbia vs Triad-』でライブを行った吉井和哉。(写真=山本倫子)

 1990年代にTHE YELLOW MONKEY、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTらが在籍した日本コロムビア内の名門ロックレーベル「TRIAD」の復活を祝うイベント『TRIAD ROCKS -Columbia vs Triad-』が5月19日、東京・豊洲PITで開催された。


(参考:吉井和哉、イエモン時代のウラ話を語る「実は体育会系のバンドで、打ち上げは男ばっかり」


 LACCO TOWER、吉井和哉、Czecho No Republic、グッドモーニングアメリカという所属アーティストが集結し、レーベルの新たな船出を祝った同イベント。1番手に登場した、6月17日に『非幸福論』で同レーベルよりメジャーデビューするLACCO TOWERは、ピアノの旋律からハードなロックサウンドに鮮やかに転換する「蕾」からライブをスタート。続く「檸檬」では、真一ジェット(キーボード)が鍵盤の上に乗って観客を煽り、松川ケイスケ(ボーカル)が激しい演奏に負けない伸びやかなハイトーンボイスで熱唱した。インディーズ時代の3曲を演奏し終えたバンドは、松川がMCで「もう30歳近くなのでフレッシュさの欠片もないですけど(笑)、なかなか無いイベントの一番手を任されたので一所懸命やります。好き嫌いはあると思いますが楽しんでもらえれば」と語り、メジャーデビュー作から新曲「葡萄」を披露。中性的な歌詞や、和を感じさせるメロディワーク、細川大介(ギター)による耽美的なギターリフで、激情のロックサウンドを演出してみせた。


 出番の最後、松山は「家で本ばかり読んで、トイレのドアも閉めれない。こんな俺でも『TRIAD ROCKS -Columbia vs Triad-』のトップを飾れて、ちょっとだけ輝いてる。この空間に決まりはありません! 楽しみ方は自由です!」と叫ぶと、最後はエモーショナルな演奏からポップなサビへと転調し、観客も手拍子で応える「一夜」を演奏し、ステージを後にした。


 2番手のCzecho No Republicは、ダイナミックなセッションから「Amazing Parade」をスタート。続けてタカハシマイ(ギター・コーラス・シンセサイザー・パーカッション)がギターを、八木類(ギター・コーラス・シンセサイザー)がシンセサイザーを弾く「Festival」を演奏するなど、疾走感のある楽曲を連発。各人がマルチプレーヤーであるチェコならではのフリーフォームぷりを発揮した。そして武井優心(ボーカル・ベース)はMCで「俺も吉井(和哉)さんが好きなんですけど、ドラムの山崎正太郎がもっと好きで。曲を作って持っていくと、『イエモンの~みたいって例えてくるんです」と山崎が熱烈な吉井フォロワーであることを明かし、新曲「Beautiful Days」を披露。3台の鍵盤が交わるチルウェイヴ風の楽曲で、会場を一度クールダウンさせたかと思えば、ドライブ感のある「MUSIC」「No Way」と一気にギアチェンジし、観客を激しく踊らせた。


 終盤、武井は「7月に日比谷野音でライブやります。席が空いたらたこ焼き屋出します。このままだと3店舗分くらいは立つな…」と皮肉を交えながら野音公演の告知を行い、カラフルなポップナンバー「Oh Yeah!!!!!!!」を置き土産にステージを去った。


 3番手のグッドモーニングアメリカは、孫悟空のコスプレに身を包んだたなしん(ベース)が、『ドラゴンボール』のテーマに合わせて観客席から現れ「かめはめファイヤー」を披露。その後メンバーが登場し、同アニメのエンディングテーマに起用された「拝啓、ツラツストラ」を演奏すると、会場には「Ah~」というシングアロングが響き渡った。2曲目に披露した「inトーキョーシティ」では、四分キックのリズムで観客を踊らせると、続けて新シングルの表題曲であり、「コピペパピプペポピーポーパーポー」という奇妙奇天烈なフレーズと、現代社会を揶揄するシニカルな歌詞が耳に残るダンスナンバー「コピペ」を披露。


 4曲目にはライブ定番曲である「イチ、ニッ、サンでジャンプ」を演奏すると、金廣真悟(ボーカル・ギター)がMCでシングルのリリース日が6月13日に決まったこと、同作の発売に合わせ、八王子オリンパスで初のホールワンマンライブを行うことを発表した。続けて金廣は「所属して2年で、インディーのときには見れなかった景色を見せてもらってる。新しい風を吹かせれるように精進していくのでよろしくお願いします」とレーベルへ感謝の気持ちを表し、メジャーデビューシングルの表題曲「未来へのスパイラル」を披露。全てを出し切るかのような激しい演奏で、次の吉井和哉へとバトンを繋いだ。


 トリを務めた吉井和哉は、事前の宣言通り、1曲目に「JAM」を披露するかと思いきや、「(Everybody is) Like a Starlight」でスタートを切ると、ここぞとばかりにTHE YELLOW MONKEY時代の楽曲「SPARK」を熱唱。MCで吉井は「今夜ここにいる人たちは最高のロックバカ! でも、平日に豊洲って何って感じだよね、この場を借りて謝罪します、どうもすいません(笑)」とにこやかに話すと、続けて「でも憎めないレーベルなんですよ。だから今日はできる限りの大サービスを。TRIAD時代の曲しかやりませんから!」と高らかに宣言し、観客が大きく沸いた。


 その後、吉井は最新アルバム収録曲である「TOKYO NORTH SIDE」と「Step Up Rock」に続き、TRIAD復帰作となったシングル表題曲「クリア」を観客の大合唱とともに披露。そして、吉井はMCで「TRIADには昔、中原繁というカッコいい男がいたんだ。でも彼は若くして亡くなった。そして今日は“TRIADのお祭り”として、みんなに中原の魂も感じて貰いたいから、どうしても歌いたい曲がある」と語り、譜面台を用意。そうして吉井は、かつて中原が発掘したスターバンド・THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「世界の終わり」をカバー。タンバリンを叩きながら同曲を熱唱する吉井の姿に、観客は悲鳴にも似た熱狂の声を挙げると、吉井は歌い終えた後、「中原とともに、日本のロックをこれからも築いていきます」と改めて決意表明をした。


 ライブの最後に、吉井は「今から特別な時にしか披露しない曲をやります」と前置きし、「今聞くとウソみたいと思うかもしれないけどさ、昔は外国で飛行機事故があったとき、ニュースキャスターは笑顔で<乗客に日本人はいませんでした>って言ってたんだよ。そう考えると、この曲を作ってよかったんだと思える」と語り、THE YELLOW MONKEYの代表曲であり、吉井と中原の思い出の一曲でもある「JAM」を熱唱。会場内に感動が広がる中、吉井はステージを後にした。


 ここでアンコールかと思いきや、登場したのはグッドモーニングアメリカのたなしん。たなしんはサプライズとして『ドラゴンボール 超』のOPに吉井、EDにグッドモーニングアメリカが決定したことを報告。吉井は新オープニングテーマについて「アメリカでレコーディングした、近年稀に見る名曲」と語ると、金廣は「みんなで歌える曲」と説明し、記念写真を撮影したところでイベントは終了した。なお、この日配布されたMUSIC Connecting Cardは、吉井とグッドモーニングアメリカの新曲が一部視聴可能となるコードが付属しており、ダウンロードは6月1日より可能となる。


 吉井とTRIADの絆、そしてその意思を継ぐ若手たちの熱量が精一杯伝わってきた同イベント。懐かしさと新鮮さが入り混じったこの余韻に浸りつつ、第2回を楽しみにしたい。(中村拓海)