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浅田真央を現役続行に導いた、ドリカムの楽曲群 人々に勇気を与えた歌詞を読む

2015年05月20日 11:01  リアルサウンド

リアルサウンド

DREAMS COME TRUE『DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム』(Universal Music)

 フィギュアスケートで競技を休養していた浅田真央が5月18日午後、都内で会見を開き「100%復帰するつもりでやっている。去年のレベルまで戻すことを目標にしたい」と述べて、現役続行を表明した。


 振り返れば昨年5月、浅田はソチオリンピックと世界フィギュアスケート選手権に出場後、1年間の休養を取ることを正式発表。現役復帰するか引退するかについては「ハーフハーフです」と答えていた。一時はスケート自体をやめることも考えていたという。


 しかし、今年1月1日にスペシャル番組『新春!!炎の体育会TV』に出演した際、ある出来事をきっかけとして心境に変化があったことを告白。「自分はスケートしかない」と、現役続行を示唆していた。


 その出来事というのは、DREAMS COME TRUEが昨年10月5日に東京・国立代々木競技場第一体育館にて行ったライブ「25th Anniversary DREAMS COME TRUE CONCERT TOUR 2014 - ATTACK25 -」のこと。ライブ本編の終盤、ボーカルの吉田美和は「AGAIN」という楽曲について、「この曲作ってるときにさ、すっごいこの人のことを思い浮かべて書いてたの。今日はその人が観に来てくれてるんだ。あまりにもうれしいので紹介してもいいですか?」と語り、当日観覧に訪れていた浅田を紹介。突然、自身の名前を呼ばれた浅田は、満面の笑みでそれに応えていた。


 番組内で浅田は、当時のことを振り返り、「すごく輝いていて、自分もこういう(輝ける)舞台で滑りたいなって、すごくパワーをもらえて、刺激も受けました」と、大きな影響を受けたことを明かした。また楽曲「AGAIN」については、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組『住友生命Presents浅田真央のにっぽんスマイル』にて、「初めて聴いたときには涙が出てしまった。歌詞も本当に私の心をぐっと掴んでくれて、助けられた曲でもあります。(中略)私自身ソチオリンピックが終わってから、悔しくて悲しくて落ち込んでいたんですけど、世界選手権までは毎日、もう一回頑張ろうってずっと聴いてきた曲です」と語っている。実際、浅田が世界フィギュアスケート選手権で見せた表情は、「もう一度/今のあなたで/悔いなんてまるでない/あの最強の笑顔で」という歌詞を連想させるものであり、DREAMS COME TRUEの楽曲が持つパワー、その言葉の強さを感じさせた。


 DREAMS COME TRUEの楽曲には、「AGAIN」のほかにも人々の背中を押し、勇気づけてくれるものが少なくない。たとえば、2005年に発表された「何度でも」は、「何度でも何度でも何度でも/立ち上がり呼ぶよ/きみの名前/声が枯れるまで」「前を向いて/しがみついて/胸掻きむしって/あきらめないで叫べ!」と、力強い言葉でリスナーを鼓舞するメッセージソング。2011年の東日本大震災の際には、全国のラジオ局で最もオンエアされた邦楽曲となったほか、2011年3月28日から4月27日までは着うたフルが無料配信され、多くの人々の支えとなった。


 また、2013年に発表された「さぁ鐘を鳴らせ」も、DREAMS COME TRUEにしか生み出せないメッセージソングと呼べる作品だろう。「さぁ鐘を鳴らせ/ちからふりしぼれ/それだけが今日を越えていく唯一の術なら/今は一日ずつ一日ずつ/響かせていくしかないから」といった歌詞は、逆境の中から立ち上がろうとする人々の心に染み入るはずだ。


 7月7日には、デビューから26年の歩みを3枚のディスクに詰め込んだオールタイムベストアルバム『DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム』をリリースするDREAMS COME TRUE。全50曲におよぶ楽曲の中から、浅田真央にとっての「AGAIN」のような、“私のドリカム”を探してみてはいかがだろうか。心に寄り添い、力を与えてくれる一曲がきっと見つかるに違いない。(松下博夫)