2015年05月19日 14:21 弁護士ドットコム
「結婚10年、子供が2人います。先日、旦那が不倫していることが分かりました」。ある女性の告白が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに投稿された。
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相談者によると、夫の相手も既婚者だ。不倫期間は3週間と短いが、相談者がこっそり盗み見た2人のメールには「ずっと側にいる」「好き」といったやりとりが記されていたそうだ。相談者の女性が夫に「証拠」を突きつけ、離婚を視野に入れた話し合いを始めているという。
ただ、夫は不倫相手と抱き合ってキスしたことは認めているが、肉体関係があったことは認めておらず、相談者も確証はつかめていない。もし肉体関係がなかった場合でも、夫の相手に対して「不倫」の慰謝料を請求できるのだろうか?小田紗織弁護士に聞いた。
「肉体関係がない不倫でも、慰謝料請求が認められた裁判例は、数こそ少ないですが、昔からあります。
最近も、肉体関係までは認められないにしても、『それに準じる行為』により精神的苦痛を受けたと裁判所が判断し、慰謝料を認める和解が成立しました」
小田弁護士はこのように説明する。
「不倫で慰謝料が認められるのは、『婚姻共同生活の平和の維持という権利、または法的保護に値する利益』を侵害して、精神的苦痛を与えるからだと考えられています。この考え方によれば、慰謝料が認められるのに、肉体関係は必ずしも必要ないということになります。
実際には、肉体関係を示す証拠はないものの、限りなく疑わしい状況が証明された場合に、慰謝料が認められているようです」
では、今回のケースでも、慰謝料が認められる可能性があるのか?
「夫が家庭を顧みず、不倫相手と密会したり、『ずっと側にいる』『好き』などと頻繁に連絡をとっていることを知れば、肉体関係があろうとなかろうと、相談者である妻の精神的苦痛は相当大きいでしょう。
夫と不倫相手との親密な関係をメールなどで証明できれば、慰謝料が認められる可能性はあります。ただ、肉体関係があったと示唆する明確な証拠がなく、不倫の期間が3週間と短いため、慰謝料が認められるとしても、金額は少ないものになるでしょう」
小田弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
小田 紗織(おだ・さおり)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/