平川亮(RSS広島トヨペットIPS)と中山雄一(KeePer IPS-01)のバトル 富士スピードウェイを舞台とする、インタープロトシリーズが5月16~17日に幕を開けた。プロフェッショナルクラスでは、雨の予選で中山雄一(KeePer IPS-01)がポールポジションを獲得したが、第1戦ではチャンピオンの平川亮(RSS広島トヨペットIPS)が逆転。第2戦ではスタートから一度もトップを譲らず、平川が2連勝を飾ることとなった。ジェントルマンクラスでは、第1戦を畠中修(KeePer IPS-01)が、第2戦をYuke Taniguchi(Pasarレーシングカー)が制した。
インタープロトシリーズのシーズン3が、いよいよスタート。今年は全3大会6レースの他にも、特別戦として「2時間セミ耐久」も実施される。シリーズで使用されている“kuruma”の耐久性は、昨年ST-1クラスでチャンピオンを獲得したスーパー耐久でも実証済み。従来のスプリントとはまた異なる魅力を、すべてのエントラントが体験できそうだ。さらに、昨年の最終大会で試されたレクサスIS F CCS-Rとの混走も、正式に実施されることとなった。
また、今年からジェントルマンクラスも細分化されて、エキスパートとジェントルマンが分けられることに。これは「ひとりでも多く、表彰台に上がってもらいたい」という関谷正徳プロデューサーの配慮によるもので、今回はFLYING RAT(INGING MOTORSPORT)、とおる君(ピンキー#7&とおる君)、渡邊久和(ララパルーザ)がジェントルマンとして、その他のドライバーがエキスパートとされた。
すでに雨は上がっていたものの、濡れたままの路面で行われた予選で、2分2秒526を記録してポールポジションを奪ったのは、昨年までスーパー耐久で“kuruma”を相手に戦っていた堀主知ロバート(Faust Racing Team IPS)。「乗ってみて分かったのは、Z4じゃ勝てないこと(笑)。すごいのを相手にしていた」と、結果を残したこと以上にポテンシャルの違いに驚いていた。2番手はTaniguchiが2分2秒689で、3番手の畠中が2分2秒835で続いた。CCS-Rクラスでは今井孝(LEXUS IS F CCS-R)がトップ。
続いて行われたプロフェッショナルクラスの予選は、セクター3で撒かれたオイル処理のために45分ほどスタートが遅れるが、その間に路面はより乾いていた。変わり続けるコンディションに誰より対応したのが中山で、終始トップを守ったばかりか、終了間際に1分58秒621を記録し、さらにライバルを引き離したかと思われた。
だが、その直後に平川が1分58秒732で肉薄することに。「調子はいつもどおりです。平川とコンマ1秒差なんで(笑)。カウルが新しくなったら、ウェットですごく安定するようになりました。それはみんな一緒なんですが。タイムは接近しているし、誰か抜け出さなければ、すごくいいバトルになるんじゃないですか」と中山は語った。3番手はロニー・クインタレッリ(ララパルーザ)が、そして山下健太(ピンキー#7&とおる君)が4番手を獲得した。
CCS-Rクラスでは脇阪薫一(P.MU RACING CCS-R)がトップ。2番手は新田守男(LEXUS IS F CCS-R)と、スーパーGTのチームメイト同士が上位を独占した。
土曜日には、予選に続き、ジェントルマンクラス決勝の第1戦が行われた。すでに路面はドライコンディションに変わっており、全車がスリックタイヤを装着。1周のローリングの後、トップで1コーナーに飛び込んでいったのは堀ではなく、3番手の畠中だった。
「エキゾーストか何か割れたみたいで、すごい音はするわ、直線では置いていかれるわ」で堀のペースが上がらず。次第に順位を落としていく中、代わって主役の座を射止めた畠中は1周だけで1秒半のリードを奪う。しかし、そのまま逃がしてくれなかったのがTaniguchiで、じわりじわりと差を詰めて10周目にはトップ浮上。
ところが、その後は逆に畠中が逃がしてくれず、14周目の1コーナーでTaniguchiを抜き返すと、そのまま逃げ切りを果たす。
「この日を待ち望んでいました。オフの間にみっちり練習を積んで、先生(中山)の教えが良かったおかげです。レース中も無線で『自信を持って、前だけ見て』と言われたので、そのとおりにしていました」と畠中。3位はFLYING RATが獲得し、合わせてジェントルマンドライバークラスの優勝も飾った。またCCS-Rクラスでは、平沼貴之(Green Brave CCS-R)が優勝を飾っている。
明けて日曜日に行われた決勝の第2戦は、第1戦の順位でグリッドが決定するため、ポールからスタートするのは畠山に。好スタートを切ったFLYING RATが1コーナーでTaniguchiの前に出たものの、立ち上がりで勢い余ってコースアウト、5番手まで落ちてしまう。
その間に1秒近い差をつけた畠中ながら、間もなくTaniguchiのペースも上がり始めて、2周目には一気に差を詰め、3周目にはトップに浮上する。だが、Taniguchiもなかなか逃げることを許されず、激しい攻防が続くうちに、今度はDRAGON(B-MAX・インタープロト)が急接近。勢いに乗って8周目のダンロップコーナーで畠中をかわしたDRAGONは、続いてTaniguchiにも迫り、最後のストレートを畠中とともに一列で駆け抜けていったものの、トップに立つまでには至らなかった。
「なんか知らないけれど、タイヤの温まっていない時の畠中選手は、ものすごく速くてついていくことができなかった。結果的に勝てたけど、これからも大変なレースが続いていくんだろうね。まぁ、勝てて良かった」とTaniguchi。ジェントルマンドライバークラスではFLYNG RATが2連勝。総合では4位だった。
CCS-Rクラスは、序盤の激しいバトルから抜け出した平沼が2連勝。「以前よりクルマのポテンシャルが上がった分、運転を丁寧にする、というのを心掛けたのが良かったんでしょう」と勝因を語った。
午後には、いよいよプロフェッショナルクラスの決勝が。第1戦は8周で、第2戦が10周で、ほぼ間髪なく連続して行われることとなっていた。ちなみに、第2戦のグリッドは第1戦の結果で決まり、インターバルにタイヤ交換は許されていない。
第1戦のホールショットを決めたのは中山だが、平川がぴたりと食らいついて離れず。その後方でもクインタレッリと山下のバトルが激しく、ダンロップコーナーでの逆転があったことで、中山と平川が早くも一騎討ちの様相を呈することとなる。ただし、つば競り合いも一度のみ。2周目の1コーナーで平川が前に出ると、徐々に差は広がっていったからだ。その後、2周目の1コーナーで黒澤琢弥(Paserレーシングカー)に接触した土屋武士(Faust Racing Team IPS)が、6周目に国本雄資(INGING MOTORSPORT)がエンジントラブルでリタイアした以外に順位変動はなく、最後はタイヤを温存する余裕さえ見せて平川が逃げ切りに成功する。
一方、CCS-Rクラスでは脇阪と新田がランデブー走行を繰り返す中、5番手を走行していた都筑晶裕(LEXUS IS F CCS-R)に5周目、ブレーキトラブルが発生し、1コーナーで激しいクラッシュを喫していた。幸い、都筑には怪我はなかったものの、マシンとガードレールがひどく損傷したため、第2戦のスタートは予選に続いて大きく遅れてしまう。
その第2戦では、スタートから平川が一度もトップを譲らず。「木曜から走り始めて、クルマはすごくいい状態だったんですよ。なのに予選は僕のミスもあって、悔しい思いをしていましたので、連勝できてホッとしました。最初のレースは次のレースのことも考えて最後は抑えて走りましたが、次のレースは絶えずプッシュして。気を抜いて走ると、かえってどうなるか分からないですからね」と平川は語った。2位は中山で、3位はクインタレッリが獲得。7周目の1コーナーで山下を抜いて、第1戦の借りを返した格好となった。
CCS-Rクラスでは、引き続き脇阪と新田のランデブー走行とはならず、3周目の1コーナーでのスリーワイド攻防を制した、阪口良平(ムータレーシングCCS-R)が間に割って入ることに。ところが、8周目の1コーナーで、脇阪に続いていた阪口、新田、番場琢(Green Brave CCS-R)が相次いでコースアウト。これで脇阪は難なく逃げ切って2連勝、いち早く復帰できた番場がマフラーを路面に擦りながらもポジションを守って2位を獲得した。
「ずっとトップでしたが、全然楽なレースではなかった。新田さんが速かったから、2レースともふたりで展開作れるかな、と思っていたんですが、第2戦は良平が近づいてきて。8周目もなんか変だと感じたから、インからずっとブレーキを踏んで僕がようやくまわれたのに、アウトからあの勢いで行って止まれるわけがない。楽させてもらったのは、最後だけです」と脇阪はコメントした。
次回のレースは「2時間セミ耐久レース」として、特別戦が7月20日に開催される。果たしてどんな展開となるのか、大いに気になるところだ。
(はた☆なおゆき)