トップへ

F1現地直送:燃料の追加タンク疑惑は、謎のまま幕引きか?

2015年05月18日 16:40  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

スペインGPではメルセデスを追い詰めるに至らず、追加タンク疑惑が噂されたフェラーリ。噂を払拭するためにも今後からの巻き返しが待たれる
スペインGPにおいて、燃料流量について新たな通達が出た。その通達が出されたのは公式予選が終了した5分後、午後3時05分。通達を出したのはFIA、送り先は全チームだった。しかし、通達の内容は一般には公開されなかったため詳細は明らかになっていない。ある情報筋によれば「燃料流入量が著しく増減するチームがあるため、最低流入量を毎時90kgに定めた」という内容だったようだ。いったい、どういうことなのか?

 数戦前からFIAは特定のチームの燃料流入量に注目。最大流入量はセンサーでチェックされているため、それを超えることはないが、不定期に大きく下回っていることに疑念を抱いていたという。そこに、あるチームから「特定のチームが追加タンクを使用しているのではないか?」という情報がFIAに入り、通達を出すことになったと見られている。

 すべて噂のレベルではあるが、不自然な燃料流入量を行っていたチームはフェラーリとザウバー、追加タンクの存在を疑ったのはメルセデスと言われている。前出の情報筋によれば、燃料流入量センサーは燃料を噴射するハイプレッシャーインジェクターの手前にあり、その途中に追加タンクを設けて、ある設定でアクセルを踏んだときに燃料流入量が毎時100kgではなく、非常に低い数値で追加タンクへ流れる仕組みになっているのではないかという。そして設定を元に戻すと、燃料流入量が再び毎時100kgになるだけでなく、追加タンクからも燃料が噴射される。これで瞬間的に毎時100kg以上の燃料を合法的に使用できるというトリックだ。

 ただし、FIAは追加タンクの存在を確認せず、予選後に数値目標を出すにとどまった。通達が出されるという情報は、すでにフェラーリ側も察知していたため金曜日の夜に追加タンクを取り外し、土曜日からは使用しなかったのではないかと噂されている。追加タンクからの燃料を使用する場合は、バルセロナのセクター3が最も効果的で、フェラーリ勢はセクター3で伸び悩んでいたからだ。

 もちろん証拠は何もない。スペインGPレース後の車検で違法なものは発見されなかったので、真相は謎に包まれたまま。ただひとつ言えることはメルセデスが警戒しているのはフェラーリであり、残念ながらルノーやホンダには抜け道を見つけ出す余裕もなさそうだ──ということである。

(尾張正博)