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インディ500:クラッシュにより予選方式が変更。ポールポジションはディクソンが獲得し、琢磨は下位に沈む

2015年05月18日 11:50  AUTOSPORT web

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ポールポジションを獲得したスコット・ディクソン
ベライゾン・インディカー・シリーズ第6戦にスケジュールされた第99回インディアナポリス500マイルレース。17日に予選が行われ、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)がポールポジションを獲得。佐藤琢磨(AJフォイト)は、スピードが伸びず27番手となった。

 前日の土曜日が雨に見舞われ、今年のインディ500の予選は日曜日だけですべてを終らせねばならないことになった。もちろん、今日も雨なら月曜に延期されるのだが、1日で終らせるべくスケジュールは組み直された。アタックはクジ引きで決まった順番で1回のみとされ、そのアタックで最速だった9人がポールポジション争いを行い、10番手から30番手となったドライバーたちは、1回の予選アタックだけで決勝進出が確定。最後列の3グリッドだけは4台で争われるルールとされた。

 ところが、予選を前にしたプラクティスでエド・カーペンター(CFHレーシング)がクラッシュ。230mphオーバーの予選シミュレーション中にターン2でスピンし、宙に舞い上がった。インディカーが空を飛ぶのは今月3回目。13日にエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が、14日にジョセフ・ニューガーデン(CFHレーシング)がターン1でスピンし、後ろ向きになって宙に舞うアクシデントを起こしている。

 すべてシボレーのマシンに起こったものだが、予選用ブーストになってエンジンがパワーアップしているため、ホンダ車にも同じ問題が起こることをインディカーは心配。ルールを変更し、新しいスケジュールを採用した。予選でもターボのブースト圧は決勝用と同じにし、全エントラントは予選と決勝で同じエアロキットのコンビネーションを使わねばならないというルールも採用された。シボレーは“予選用”サイドポッドが使えなくなり、ホンダはホイールガード上のウイングを装着して予選を走ることになったのだ。

 そして、新たにもう一度プラクティスが1時間(2グループに30分ずつ)、午後1時半から与えられ、予選は午後3時15分から開催されることとなった。さらに、アタックは完全に1人1回となり、ファストナインによるシュートアウト=ポールポジション獲得合戦はなくなり、31番手から34番手までが最後列グリッド3個を争うルールだけは残された。

 ポールポジション争いは一発勝負になった。雨の心配は消え去り、気温は25度前後と高過ぎず、低過ぎずというものになった。しかし、今日のスピードウェイには風が吹いていた。そうした条件下で最速となる226.760mph平均の4ラップを完成させたのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシン グ)だった。4人のペンスキー勢が彼より後にアタックしたが、いちばん近づけたのがウィル・パワーの226.350mphで、彼は惜しくも予選2位に敗れた。予選3位もペンスキーのサイモン・ペジナウ。226.145mphでインディ500での初めてのフロントロー・グリッド獲得を果たした。

 ディクソンは、「ポール獲得は最高に嬉しい。チーム全員が本当に頑張ってくれていたからね。自分たちとしては226mph台の半ばか、下の方のスピードなら出せると考えていた。つまり、僕らは想定より速く走れちゃったということ。特に1ラップ目は考えていたより速かった。強い追い風があったのかもしれない」

「その後のラップは少しずつスピードが落ちていった。今日の僕は早めにアタックする順番で、不利に置かれていると感じていた。ライバルたちには状況を分析する時間が与えられているようなものだからだ。特にペンスキー勢は遅い順番を引いているドライバーがいたので、彼らが有利だと思っていた。しかし、僕らのマシンセッティング、コンディションの読みがベストだった」と喜んでいた。

 予選4位はトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング)で、5位はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)とシボレー軍団がトップ5を占めた。予選6位は、アンドレッティ・オートスポートのジャスティン・ウィルソンで、ここまでが2列目グリッドだ。

 3列目にはセバスチャン・ブルデー(KVSHレーシング)、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)、ニューガーデン(CFHレーシング)が並ぶこととなり、4列目イン側グリッドの10位にはJR・ヒルデブランド(CFHレーシング)がスポット参戦ながら入った。シボレーが予選トップ10のうちの8台を占めた。

 佐藤琢磨(AJ・フォイト・レーシング)は計223.226mphで予選27位だった。「強風の影響でギアが合っておらず、メイン・ストレートでのスピードが伸びなかった」と琢磨は悔しがっていた。「速かったチームはギアチェンジをしていた。そのためのギアも僕らは組み込んでいなかった。強風に対して、ギア比を検討したけれど、4、5、6速を使ってのアタックとすべき……という考えにまでは行き着かなかった」とコメント。

 1回目のアタックで30番手だったのはセバスチャン・サーベドラ(チップ・ガナッシ・レーシング)で、彼はバンプアウト合戦に出場せずに済むこととなった。

 インディ500にのみスポット参戦する1996年インディ500ウィナーのバディ・ラジアー(ラジー・パートナーズ・レーシング)は、最初に回って来たアタック順では走らず、夕方の4台によるサバイバルゲームに集中する作戦に出た。しかし、走り出しが予選前の金曜だったラジアは、レース用ブーストでの走行を一切行っていなかったこも影響し、最後のバンプアウト合戦でも十分にスピードアップができなかった。

 予選の第1ラウンドで222.787mphしか出せずに31番手だったジャック・ホークスワース(AJ・フォイト・レーシング)は、バンプ・アウト合戦でのアタックで223.738mphへと大きくスピードアップして決勝進出を確定。32番手だったステファノ・コレッティ(KVレーシング・テクノロジー)も221.912mphから222.001mphへとスピードアップして32番グリッドを手に入れ、220.523mphしか出せていなかったブライアン・クロウソン(KVSHレーシング)もバンプ・アウト合戦でのアタックで221.358mphをマーク。ラジアーは二度アタックしたが、1回目が219.438mph、2回目が220.153mphで、ただひとり決勝進出できないドライバーに決まった。

 決勝進出33台はホンダが17台、シボレーが16台となった。18日と22日にもプラクティス走行が行われ、24日に第99回インディアナポリス500マイルレースの決勝レースを迎える予定だ。

(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)