2017年のF1にレース中の給油を復活させるという点でF1上層部が合意したが、これを実現するには今後慎重な調査と検討を行わなければならないと、メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフが認めている。
F1ストラテジーグループ会合においてF1の将来の方向性を決めるいくつかの規則変更に関して合意に達したことが15日に発表された。
FIA、FOM、6チームの代表はF1のショー的要素の向上やコスト削減に関する提案について協議した。この結果、2017年にはレース中の給油を復活させるという案において合意に達した。
レース中の再給油は2010年から廃止されていた。これを復活させるのは、不確定要素を増やし、ファンの興味を引き付けるためであると考えられる。
現在のピットストップは通常ではタイヤ交換のみが行われ、約3秒で終えられる。再給油が導入されると、チームにとって戦略の選択肢が広がり、スタート時にどれだけ燃料を積むのか、いつピットインをするのか、ピット作業にどれだけ時間がかかるのかなどといったことが、外部から見ると不透明になる。また、マシンがより軽い状態で走ることになるため、より速いラップタイムが実現できる。
一方で、給油に関しては事故の可能性も否定できず、安全性の問題が懸念される。また、2010年に再給油が禁止されたのは給油装置の輸送コストを下げる目的もあり、これを復活させるとコストが上がることになる。現在のF1ではコスト削減と安全性の向上が重要なテーマであるが、これに反する動きになるといえる。
ウォルフはレース中の給油導入に賛成はしているものの、実際の実現可能性とコストの問題を今後詳細に評価する必要があると述べた。
「(再給油を復活させるとレースに)非常に見応えが出てくるという意見が出た」とウォルフは会合の後に語った。
「(再給油することで)決勝中にマシンが軽い状態で走ることになり、それによってドライバーはプッシュしやすくなる。マシンの重みでタイヤにかかる負担が軽減されるからだ」
「一方で懐疑的な見方もあった。数年前に再給油を廃止したわけだし、装置の輸送には(コストの)問題がある」
「しかしファンにとっては(再給油がなされることで)レースがより予想しづらくなる。何が起きるのか分からなくなるのだ」
「この問題について詳しく調査し、可能であれば実行しようということで合意した。ピットストップ全体の見応えが減ることも避けなければならない」