トップへ

14歳の息子の「スマホ閲覧履歴」 親がチェックしたら「プライバシー」の侵害?

2015年05月17日 11:21  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

親が子どもにスマートフォンを買い与えるとき、時間制限やアプリの使用条件などのルールを決める家庭は多い。しかし、ある父親が「不定期で閲覧履歴を検査する」ことを条件にしたところ、14歳の息子に「プライバシーの侵害だと言われた」――。ネットの掲示板にこんな書き込みが投稿された。


【関連記事:「動物との性行為」禁じる法律がデンマークで成立――日本の規制はどうなっている?】



父親いわく、検査する理由は「いかがわしいサイトを見ていないか確認するため」。もしも息子が閲覧履歴を消した場合は、その場でスマホを没収するつもりだという。



このように親が子どものスマホの閲覧履歴をチェックすることは、息子が言うように「プライバシーの侵害」にあたるのだろうか。それとも親には、子どものスマホを自由にチェックする権利があるのか。浮田美穂弁護士に聞いた。



●「プライバシー権の侵害にはあたらない」


「子どもにもプライバシー権はありますが、子どもは親の『親権』に服しなければなりません。親権とは子どもを監護・教育する権利ですが、それは親の義務でもあります」



子どもの監護・教育目的であれば、プライバシー権を侵害するとはいえないのだろうか。



「いかがわしいサイトを見ていないか、あるいは何かの被害に遭っていないかを確認するために閲覧履歴をチェックすることは、親権に基づく親の権利であり、義務でもあります。したがって、プライバシー権の侵害にはあたらないでしょう」



そうはいっても、14歳という多感な時期に、親に閲覧履歴をチェックされるのは、かなり恥ずかしいのでは・・・。



「最初にするべきは、履歴チェックよりも、有害サイトにアクセスできないようにする『フィルタリング』でしょう。



『青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律』(2009年4月施行)でも、18歳未満の子どもが使うスマホ等の契約をする場合には、保護者はその旨を契約先に告げるよう定められています。



また、契約先は保護者から『フィルタリングサービスを利用しない』という申し出がない限り、フィルタリングサービスを付けることも義務付けられました。



ある程度は、このサービスで子どもを守れると思います。親が、さらに閲覧履歴をチェックする必要があると考えても、それは親権にもとづくものであり、子どものプライバシー権の侵害にはあたらないと思います」



では、子どもが高校生や成人であった場合は、どうだろうか?



「この法律は18歳で区切られていますので、18歳が1つの目安となりますが、やはり親子間の信頼関係が大事ですから、よく話し合って決めたほうがいいでしょう。



しかし、20歳を過ぎれば子は親の親権に服しませんので、親が閲覧履歴をチェックすることはプライバシー権の侵害となりかねません。そもそも、子どもが自分で携帯電話の契約をすればよい年齢かと思います」



(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
浮田 美穂(うきた・みほ)弁護士
2002年、弁護士登録。2010年、度金沢弁護士会副会長。2011年から、石川県子ども政策審議会児童福祉部会委員。著書に 「ママ弁護士の子どもを守る相談室」(2013年、一万年堂出版)。
事務所名:弁護士法人兼六法律事務所
事務所URL:http://kenroku.net/