ポルシェは15日、24時間耐久レースが開催されているドイツのニュルブルクリンクで、2015年12月から販売予定の新GT3カー、ポルシェ911 GT3Rをワールドプレミアした。
多くの自動車メーカーから同規定のレーシングカーが販売され、世界中で活況となっているFIA-GT3規定レース。ポルシェはGT3規定開始当初からGT3Rをマーケットに投入していたが、近年は他メーカーの台頭もあり台数はやや減少。今季まではタイプ997のGT3Rが使用されてきたが、LM-GTE規定の911 RSRに続き、新たにタイプ991のGT3Rが発表された。
ニュルブルクリンクのパドック端に設けられた巨大なポルシェのホスピタリティで開催された発表会には、開発を担ったヨルグ・ベルグマイスターやパトリック・ピレ、ポルシェがサポートするプロテニスプレイヤーのアンゲリク・ケルバー、体操選手のマルセル・ニューエンもゲストで登場するなど、華やかな雰囲気の中で開催された。
発表された新911 GT3Rは、ポルシェのワークスカラーリングに彩られ、一見すると911 RSRに近い印象を受けた。ただ細かく見るとフロントのインテークやフェンダー上部に切られた大柄なホイールアーチエアベント、フロントホイールハウス下部のエア抜きの処理、滑らかな曲線で持ち上げられたディフューザーやリヤフェンダー下部等、外観からもタイプ997とは大きな違いが見て取れる。
この新911 GT3Rは911 GT3 RSを彷彿とさせる特徴的なダブルバブルルーフを備え、ホイールベースも997に比べ8.3cm延長。バランスに優れた重量配分を実現し、特に高速コーナリングでの挙動変化が容易なハンドリングがもたらされているという。また、ダウンフォースも増加しているほか、911 RSR同様ラジエーターが中央に配され、サイドラジエーターの廃止によって重心の位置が最適化されている。
また、ルーフ、フロントリッド、フェンダー、ホイールアーチ、ドア、サイドセクションとリアエンドセクション、リアリッド等多くの箇所をカーボン化。ウインドウもすべてポリカーボネートに変更され、大幅な軽量化を実現しているという。
パワートレインでは、911 GT3 RSとほぼ同じ水平対向6気筒4リッター直噴エンジンを搭載。効率的な燃焼を実現し、ポルシェ製6速コンスタントメッシュ・シーケンシャルトランスミッションと組み合わされる。
さらに16年からのGT3規定に合わせ安全性も向上し、燃料タンクを改良したほか、ドアとサイドウインドウは取り外し可能。ルーフの脱出用ハッチも大型化されており、新たに大きく包み込むように変更されたバケットシートと組み合わされ、高い保護性能を実現している。
新911 GT3Rは2015年12月以降にデリバリーがスタートするという。ヨーロッパはもちろん、日本でもそのパフォーマンスに大いに注目が集まる1台と言えるだろう。