2015年05月15日 19:41 弁護士ドットコム
国のTPP政府対策本部は5月15日、環太平洋連携協定(TPP)の交渉に関する説明会を東京都内で開いた。国はこれまで、TPP交渉に関わる業界団体を対象とした説明会を開いてきたが、一般まで拡大したのは今回が初めて。業界団体のほか、一般市民ら約600人が集まった。
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TPP交渉をめぐって、ネットユーザーの間では、著作権や特許権など「知的財産」の分野に注目が集まっている。TPP交渉の結論によっては、著作権の保護期間の延長がおこなわれたり、著作権侵害の「非親告罪化」がされるかもしれないからだ。最も調整が難航していのも、知的財産の分野だとされている。
この日の説明会でも、TPP政府対策本部の渋谷和久内閣審議官が、知的財産の分野で調整が難航していることを認めた。
渋谷内閣審議官はまず、著作権の保護期間をあげたうえで、「当初は日本をはじめ、どの国も統一する必要はないという意見だったが、ある程度ルールを統一しようという流れになった」と経緯を説明した。
すでに報じられている通り、交渉は大詰めといわれながらも、「まだ大事なことが決まっておらず、合意もない」と述べた。一方で、「長く交渉しているので論点は出尽くしており、相手国がどういう立場かも理解している」と強調した。
また、著作権侵害の非親告罪化について、渋谷内閣審議官は「日本の法体系は海外と異なっている。権利者が大きな侵害を被るケースは、厳しい罰則が用意されている。一方、そんな被害もないのに取り締まるということは想定してない」と日本のルールについて解説した。
そのうえで、「非親告罪化することで、二次創作も取り締まりの対象となり、コミケ文化が影響を受ける。そういった懸念事項も認識しながら対応している。みなさんのご理解がいただけるかたちでまとめたいと思っている」と述べた。
(弁護士ドットコムニュース)