いよいよ5月14日に走行が開始されるニュルブルクリンク24時間レース。今季もスバルはSP3TクラスでWRX STIを走らせるが、そのドライバーとして初めてのニュルに挑む山内英輝に意気込みを聞いた。
今季、スバルはSP3Tクラスの勝利奪還を目指し「『強靭でしなやかな走り』を磨き、スバルが提唱する『安心と愉しさ』をレースフィールドで実証する」べく8回目のニュル24時間に挑戦する。1月の東京オートサロンで発表された時点では、マルセル・ラッセー、カルロ・バンダム、ティム・シュリックの3人に加え、当初佐々木孝太がドライバーラインナップに加えられていた。
しかし、5月に入ってから佐々木が24時間参戦を辞退。そこで、今季スーパーGTでSUBARU BRZ R&D SPORTをドライブする山内が24時間レースのドライバーラインナップに加わった。すでに山内は事前にVLNにも参戦し、初めてとなるノルドシュライフェも体験。出場許可も下り、いよいよ今週末、初めてのニュル24時間に挑むことになる。
13日、サーキット入りした山内は初のレースという気負いもなくリラックスした様子でマシンの様子をチェックしたりと前日の時間を過ごした。それも、すでに事前にノルドシュライフェを経験していたからだ。
「VLNで乗った時には、意外にすぐにコースにも慣れて、そこまで速いタイムではないですけど、皆さんにいいと思って頂けるタイムをマークすることができました。みんなが言うようにコースは危険なところもありますけど、すごく楽しいですね。ドライで乗った時には想像していたよりも大丈夫でした」と山内。
その山内が言う“安心感”は、やはりWRX STIのポテンシャルによるものだという。
「クルマ自体はここでしか走っていないですし、他のコースでどうかは分からないですけど、WRX STIはすごく安定していたんです。リヤがオーバーで流れたり、唐突に出たりということもなくて、WRX STIはずっと弱アンダーですごく乗りやすかった。だから安心できたのかもしれないですね」
とは言え、ニュルブルクリンク24時間は単独で走るだけではなく、WRX STIよりも遅いクルマを追い抜き、後方から迫るGT3カーをはじめとした速いクルマを行かせなければならない。その上で、きっちりとマシンをフィニッシュまで運ばなければ、目標の勝利までは届かない。山内はVLNでは、他車とともに走る部分でどんな感想をもっただろうか。
「速度差がすごいという部分もありますけど、GT3カーの回避の仕方が難しかったです。遅いクルマを抜いていくのはそこまで厳しくはないんですが、速いクルマが来た時に、想像できない動きをする人がいるので、そこは対処が難しかったです」と山内。
「スーパーGTではうしろからGT500が来ても『いまこの辺にいるからどこでいかせよう』というシミュレーションができるんです。でも、ここではまだ慣れていない部分もありますが、『ここで抜かせよう』というシミュレーションがまだできないので、それができればGTみたいにうまく抜かせられると思います」
「ここではいい走りをしても、クルマを壊してしまったらマイナスになってしまいますからね。絶対に壊さないように気をつけて走りたいです」
まずは多くの台数が走る予選から、安全にWRX STIを周回させなければならない。初めての24時間に挑む山内の走りに大いに注目したいところだ。