2015年05月13日 16:31 弁護士ドットコム
国民的アニメ「サザエさん」に登場するワカメちゃんの同級生、ホリカワ君の行動が「常軌を逸している」とツイッターで話題となっている。5月10日の放送でも、その「奇行」ぶりが際立っていた。
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ワカメちゃんが暮らす磯野家の庭先のしげみに隠れていたホリカワ君。磯野家の人たちに発見され、「勝手に人のうちをのぞかないで」と注意されると、「今度は見つからないようにするよ」と悪びれた様子もない。なんと磯野家の床下でオタマジャクシをこっそり飼っていて、その様子を見にきていたのだ。母親にしかられるため、自宅では飼育できなかったのだという。
以前からホリカワくんは、壁のシミを「弟」と呼んだり、飼っているヒヨコに「わかめ」という名前をつけるなど、一風変わった言動で話題となっていた。ツイッター上では、「今日の堀川くんは一段とヤバかった」「現実にいたら刑務所行きなレベル」と「奇行」を問題視する声が上がっている。
ホリカワ君の「奇行」に違法性はないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
「まさか『サザエさん』がネタになるとは想像もしていませんでしたが、あえて法律という視点でホリカワ君の罪について、解説します。
まず、最初に確認しておきたいことは、ホリカワ君は小学校3年生なので、8歳か9歳です。刑法では、14歳未満の者は処罰できないので、ホリカワ君には、犯罪が成立しないということはご理解ください。そのうえで、あくまで『たられば』ということで解説します」
西口弁護士はこのように前置きしたうえで、解説をはじめた。
「まず、ホリカワ君が勝手に磯野家の敷地に入った行為は、刑法130条前段に規定してある『建造物侵入罪』にあたります。
ホリカワ君は、磯野家の人たちから注意を受けているわけですから、磯野家の同意があったとはいえません。したがって、友達の家だからといって、犯罪の成立が否定されるということにはなりません」
床下でオタマジャクシを飼育していた点はどうだろう。
「オタマジャクシのような無害な生き物を飼育しても、それ自体は犯罪行為に該当しないでしょう。
ただし、蛇・サソリ等危険な生き物を飼育して、人に怪我をさせてしまったような場合は、刑法209条1項の『過失傷害罪』にあたる可能性はあります。
いずれにしてもホリカワ君自身は処罰されませんが、ホリカワ君の親御さんが民事上の責任を追及される可能性がありますね」
西口弁護士はこのように述べていた。今後もホリカワ君の行動から目が離せない。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/