2015年05月12日 13:21 弁護士ドットコム
小さな子どもがいる夫婦の「離婚」は難しい。なかでも「複数の子ども」がいるケースでは、多くの場合、親にとっても子にとっても、難しい判断が求められる。いま離婚話を進めている男性から、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに次のような相談が寄せられた。
【関連記事:<ろくでなし子裁判>「わいせつ性の判断には陳列状況が重要」検察の主張をどう見る?】
「離婚自体は双方同意していますが、問題は親権です。11歳長男はパパっ子、6歳長女はママっ子・・・。せめて1人だけでも手元に置きたいと双方が希望していますが、そのような選択はできるのでしょうか」
離婚の原因は妻の不倫だが、これまで家事や育児は「妻に任せきりだった」という。そんなこともあり、シングルファーザーとして2人の子を育てる自信はないそうだ。ただ、親の手が離れてきた長男だけなら、育てられるのではないかと考えている。一方、正社員として働いている妻は、娘を引き取っても経済的な心配がないという。
このように複数の子どもがいる場合、「一方は父親へ、もう一方は母親へ」と、親権がバラバラになり、子ども同士が離れて暮らすようなことはあるのだろうか? 離婚問題にくわしい田中真由美弁護士に聞いた。
まず、通常の場合、親権はどのように決まるのだろうか。
「両親の離婚に際して『親権者』を指定する場合、子どもの意思が尊重されます。
15歳以上の未成年については、法律上、家庭裁判所はその子の意向を確認するように義務付けられています。また、15歳未満の子であっても、調査官が子の意向を確認します。さらに、家裁が介入しない協議離婚であっても、子どもの意思を尊重しなくてはなりません」
11歳と6歳の子どもに対し、具体的には、どのように意思確認がされるのだろうか。
「11歳と6歳の子どもさんの意思についても、ある程度は考慮されます。15歳未満の子どもの場合、判断能力の問題もありますので、子どもが直接どちらかを選ぶという明確な選択は避けられますが、父と母についての意向の事情聴取は行われます。
いままでどのような接触があったのか、子どもはどのように思っていたのか、これからの希望はどうなのか、などについて、調査官が調査を行います。
その結果、きょうだいの親権をどちらか一方の親がもつことが多いですが、両親の意向や子どもの意思に基づき、別々になることもあります。
しかし、子どもにとって、両親の離婚はそれだけで精神的な大きな負担です。このことを、周りの大人は考慮すべきです」
離婚後も、面会交流の機会に子ども同士が会えるようにするなど、離婚のダメージを少なくするような配慮が必要だろう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
田中 真由美(たなか・まゆみ)弁護士
あおば法律事務所共同代表弁護士。熊本県弁護士会所属。「親しみやすい町医者のような弁護士でありたい」がモットー。熊本県弁護士会副会長。得意分野は離婚、家事全般、債務、刑事事件、少年事件。
事務所名:あおば法律事務所
事務所URL:http://www.aoba-kumamoto.jp/