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F1現地直送:タイヤ自由選択案は、パワーユニット5基目の交換条件なのか?

2015年05月11日 22:40  AUTOSPORT web

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現在は各グランプリに2種類のドライタイヤが用意されている
スペインGP期間中に開かれたミーティングで、フォース・インディアのボブ・ファーンリー副チーム代表が「タイヤ自由選択制」を提案した。一部でピレリが受け入れる姿勢を示したと報道されているが、ピレリのポール・ヘンベリーは、それらの報道をきっぱりと否定した。

「そんな提案は馬鹿げたアイデアだ。こう言っていたと書いていい。そんな提案が5月14日のストラテジー・ミーティングで受け入れられるはずはないし、少なくとも我々は断固反対する」

 というのも、現在タイヤの運送は、F1マシンなどの機材とは違い、コスト面を重視して船便が使用されている。ビレリによれば、トルコの工場を出荷するのは約2カ月前。つまり、すでに6月下旬のオーストリアGPまでのタイヤは出荷されている。タイヤのアロケーション(2種類のタイヤの割り当て)が第8戦オーストリアGPまで発表されているのも、そのためだ。

 それならば、2カ月後のグランプリから自由にタイヤを選択すればいいのではと考えるかもしれないが、1戦ごとにチーム側の要請を受け入れてタイヤを製造するには、現在の体制では間に合わないという。しかもスペインGPで提案されたアイデアは、単純に4種類の中から2種類を選択するシステムではなく、まず3種類をノミネートして、そこからフリー走行を走って2種類に絞り、予選とレースを戦うという仕組みが提案されているため、このとおりにレギュレーションが変更されれば、ビレリの負担がさらに大きくなることは容易に想像できる。

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も「それは(フォース・インディアの)ボブの考えであって、何も決まっていない」と賛同する姿勢は見せていない。むしろストラテジー・ミーティングでは、もうひとつ重要な議題が待っている。現在パワーユニットの使用制限が年間4基というルールを、5基に変更するかどうかというものだ。

 当初この話は順調に進むかに見えたが、コストアップにつながることを恐れたチームが次々と反対の声を上げている。その急先鋒に立っているのがフォース・インディアのファーンリーなのである。そして、最も5基に増やしたいのは、スペインGPで早くも4基目のICE(エンジン)を投入したレッドブルだ。

 つまりフォース・インディアが「パワーユニット5基を通す代わりに、タイヤのルールを変更したい」と交換条件を叩きつけた格好となっている。

 果たしてストラテジー・ミーティングでは、どんな決定が行われるのか。今後のシーズンを左右するだけに、グランプリ並みに過熱しそうな予感がする。

(尾張正博)