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AKB48グループドラフト会議にみる各チームの戦略 “新メンバー低年齢化”が進む背景とは?

2015年05月11日 18:51  リアルサウンド

リアルサウンド

AKB48『僕たちは戦わない(Type-D【初回限定盤】)』(キングレコード)

 AKB48グループが、5月10日に東京・有明コロシアムで『第2回AKB48グループドラフト会議』を行った。同イベントは、AKB48、SKE48、NMB48、HKT48、NGT48の全チームからチーム8を除いた13組が、47人の候補者からそれぞれに必要な人材をメンバー自ら指名。最終的に全24名の交渉権が確定し、各チームは補強ポイントをもとに新戦力を選びとった。


(参考:AKB48の9期メンバーが赤裸々トーク 大場美奈「島田晴香が会いに来てくれなかったら辞めてた」


 今回もネタ元となっているプロ野球のドラフト同様、競合による抽選や事前の駆け引きから起こった指名一本釣りなど、様々なドラマが生まれた同イベントだが、今後期待のメンバーとはいったい誰だろうか。日本各地を飛び回るDD(誰でも大好き)ヲタの中でも突出した活動が目立つことでおなじみのガリバー氏は、注目株として以下の名前を挙げた。


「アイドルファンの観点からすると、『からっと☆』のメンバーとして活躍していた樋渡結依が、グループの解散が発表された後 にAKB48の総本山的なチームAに指名されたことに、強い物語性を感じます。それに、東京女子流の山邊未夢を姉に持つ山邊歩夢を含め、アイドルと関わりの深い方が目立ちましたね。個人的には、KIIが交渉権を獲得した愛知県出身の水野愛理が、SKE48の総意として選ばれたメンバーでもあるので注目です。全体としては小学生~中学校1年生くらいのメンバーが増え、前回のドラフトよりも低年齢化が進行しているといった印象です」


 今回のドラフトで各チームが交渉権を得たメンバーに低年齢が多い理由について、同氏は近年のグループが抱える課題とそれを打ち破るための施策がヒントになると述べる。


「HKT48において矢吹奈子と田中美久の“なこみく”コンビが活躍したことや、チーム8のメンバーが撮影OKなどの施策を実行し、現場で古参ファンに厚い支持を得ていること、年長メンバーが卒業を見据えてきていることなど、グループ全体として年長メンバーはある程度成熟しており、低年齢のメンバーの活躍が期待されている傾向にあるといえます。そのため、今回のドラフトでは各チームが若いメンバーを欲しがり、全体として低年齢化が進んだのだと思います」


 また、今回選ばれた候補者から、各チームの戦略が透けてみえるという。


「今年10月発足予定のNGT48は、『即戦力』という意向で、“元バイトAKB”である19歳の西潟茉莉奈と16歳の荻野由佳の交渉権を獲得しました。候補生が決まっていない状況で即戦力と言えるのかどうかわかりませんが、“バイトAKB”をやっていたことはアドバンテージとして強く働くでしょう。また、SKE48は、低年齢メンバーの交渉権を得ており、ファンの間でも注目度の高い7期生と競わせるための意向だと思われます。そして、現在研究生が不在で卒業の発表が続くNMB48は、その代わりと言わんばかりに多くの候補者の交渉権を獲得しています。HKT48は低年齢のメンバーが多いため、今回は少なめの補強に留まっており、テレビ番組などで露出機会を多く与えることができるAKB48は、先述の樋渡さんや山邊さんなど、堅実な選択を試みています」


 最後に、この『ドラフト会議』自体にも、グループの戦略が色濃く映っていると同氏は語る。


「『普通にオーディションを行い、過程はクローズドなまま研究生が発表され、ファンにのみ広がる』というよりも、今回のドラフトのように大々的にイベントを行うことで、AKB48ファン以外にも新しいメンバーが入ったことが伝わるようになっている。それに、イベント前から各候補者の動画や合宿の様子を公開したり、握手会を体験させたりすることで、スター候補をファンも運営もいち早く見つけやすいし、本人にとっても露出が増えるのでやる気が起こりやすいと思うんです。ドラフト1期生は、川本紗矢がじゃんけん大会で活躍するあたりまで、正規メンバーでも研究生でもない様な立ち位置として宙ぶらりんの状態が目立ちましたが、システムが整ってきた今後は、若手をいち早くブレイクさせるための施策として機能していくでしょう」


 グループが次世代育成に舵を切るなか、ドラフト制度はどこまでその一助となるのだろうか。引き続きその動向を追いたい。(リアルサウンド編集部)