2015年3月連結期決算で最終利益が前期比22.5%増と、業績好調な伊藤忠商事。2016年3月期の最終利益は3300億円を予想しており、15年ぶり総合商社業界で三菱商事に次ぐ2位に浮上する見込みだ。
そんな同社が、4月から実際の新入社員を用いたテレビCMを放映している。3人の若い男女が、上京して一人暮らしをしたり、入社式に参加したりする模様をドキュメンタリー形式で撮影したものだ。
監督には「そして父になる」の是枝氏を起用
現在放映されているのは「はじめての使命」シリーズ。柴田君編・井上さん編・吉田君編の3パターン。柴田君は希望した部署に配属され、カメラの前で抱負を語る。彼女から貰った名刺入れに名刺を入れ、「帰ったらとりあえず写メで送りたい」とはにかみながら話す。
井上さんは、上司がブラジル出張に行くという話を聞き、「私もいずれ行くことになるんですか?」と先のキャリアに思いを巡らせる。吉田君は大きな荷物を抱え、入寮したことを電話で母親に告げる。入社式ではスーツに付けた社章を大事そうに触っている。
CMの監督は、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した「そして父になる」などの是枝裕和氏。美しいピアノの音楽をバックに、笑福亭鶴瓶さんが「新入社員のみなさんへ。入社おめでとう」などと優しい口調で語りかけている。
大きな自社ビルの手前には、満開の桜の木。新入社員たちの初々しさを映し出したこのCMには、社会に出る若者を温かく見守るような感想がネットにあがっている。
「伊藤忠のCM、ええなあ」
「伊藤忠のCM、何かいい。同じ新入社員として頑張らなきゃ!って思う」
眩しすぎる新入社員の姿に「心が騒つく」
その一方で、このCMに対し「一体なにを訴えたいわけ?」と疑問を投げかける声も見られる。いわゆるB to Bの総合商社は、一般消費者にとっては馴染みのない会社。それも事業や仕事でなく、新入社員のみをクローズアップしているからかもしれない。
就活生や就職失敗組からは、見るのが辛いという感想もあがっている。眩しすぎる新入社員たちの様子を見て、共感する気持ちになれない人たちもいるようだ。
「低学歴就活生が見てると心が騒つく」「就活失敗組にとっては辛すぎるCM」
「これ自慢でしかないだろ」「リア充の極みかよ」
「入社できなかった奴に追撃を叩き込む鬼畜っぷりが素敵」
同社広報部のFacebookページには、「わかりづらい総合商社の仕事を、新入社員の新鮮な眼差しを通して丁寧に伝えていきますので、今後の展開にご期待ください」と記載されている。シリーズCMはこれからも続くようだ。
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