2015年F1第5戦スペインGPは10日、バルセロナにあるカタルニア・サーキットで66周の決勝レースが行われ、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグがポール・トゥ・ウインで今シーズン初優勝となる通算9回目のトップチェカーを受けた。
絶対有利と言われるポールスタートを決めたロズベルグが、ライバルを寄せつけない走りで欲しかった今季初優勝をようやくに手にした。
まずは最大のライバル、ルイス・ハミルトンとのフロントロウ対決を制したロズベルグは、レース序盤から最速ラップを織り交ぜながら自身のリードを拡大。一方、先行を許したハミルトンはスタートの加速が鈍ったところを3番手スタートのセバスチャン・ベッテルにポジションを奪われ、その後はフェラーリの後ろでタイムをロスすることとなった。
トップを快走するロズベルグは10周終了時点で後続に約7秒のリードを築き、その後も2番手ベッテルを徐々に引き離す理想的な展開に持ち込む。その後ろ3番手につけるハミルトンは、2番手ベッテルの背後まで迫るもののオーバーテイクを仕掛けることはできず、状況をみかねたハミルトン陣営は戦略の変更を示唆、3回ストップに動き始める。するとハミルトンは13周目にいち早くピットへ向かったが、ベッテルもポジションをカバーするため翌周にピットイン、同じミディアムタイヤを履いて再びハミルトンの前をキープした。
後方のふたりに続いて15周目にピットインしたロズベルグは、一旦5秒程度まで縮まった2番手ベッテルとの差を再び拡げていき、レース中盤もトップをキープ。一方、このスティントでもベッテルを抜きあぐねる3番手ハミルトンは、32周目にピットインすると今度はハードタイヤをチョイス。一旦5番手までポジションを下げるも、ハミルトンは新品のハードタイヤで猛チャージを開始し、4番手を走るキミ・ライコネンに続いて、ウイリアムズのバルテリ・ボッタスを相次いでオーバーテイク。2番手を争うベッテルには3秒近く速いペースでその差を詰めていった。
40周目、ベッテルはこの日最後となる2度目のピットストップを行うと、残り1回のストップを残すハミルトンの約13秒後方、4番手でコースに復帰する。しかし、一向にペースを落とさないハミルトンは周回ごとにベッテルとの差を拡大、苦手とするハードタイヤでペースの上がらないベッテルに対し十分なマージンを稼ぎ出すことに成功すると、51周目に24秒のリードを持って3回目のピットストップを敢行、狙い通り2番手復帰を果たした。
首位のロズベルグは後続の争いを尻目に最後まで安定したペースで走行を続け、2ストップ戦略を遂行。最終スティントでミディアムを履いたハミルトンが終盤ロズベルグ追走を図るも、最大20秒のリードをうまくコントロールしたロズベルグは、そのままトップでチェッカーを受け、うれしい今シーズン初優勝を決めた。
2位争いに敗れたベッテルは、結局トップから45秒遅れの3位でフィニッシュ。大幅なアップデートパーツを投入して臨んだヨーロッパラウンドの初戦は、彼らの期待とは裏腹にメルセデスとの差が広がる結果となった。
もう一台のフェラーリを駆るキミ・ライコネンは終盤にバルテリ・ボッタスを猛追したが最後までウイリアムズを攻略することができず5位でフィニッシュ。6位にはウイリアムズのフェリペ・マッサが入っている。
なお、マクラーレン・ホンダはフェルナンド・アロンソがブレーキトラブルでリタイア、ジェンソン・バトンも16位に終わり、目標の今シーズン初入賞には届かなかった。