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【インタビュー】5年で成長シモーネロシャに有力店が注目「誇れる服」の哲学

2015年05月10日 17:12  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

 デザイナー シモーネ・ロシャ(Simone Rocha)が年々存在感を高めている。セントマーチン美術大学を卒業後ブランドを立ち上げて5年、「トップショップ(TOPSHOP)」や「ジェイブランド(J Brand)」などのコラボレーションにも積極的に取り組み、日本での認知も拡大中だ。ドーバーストリートマーケット ギンザ(以下 DSMG)に設置されているフラワーインスタレーションを手がけたシモーネ・ロシャに服づくりに対する考え方を聞いた。

シモーネ・ロシャの服づくり哲学の画像を拡大

 ロンドンを拠点に活動するシモーネ・ロシャは、アイルランドと中国のハーフ。父親がデザイナーであること(John Rocha)や、育った環境に影響されデザイナーを志したといい、「アート学校に行った時に自分のクリエイティビティを表現するのに一番最適な方法がファッションだと確信できた」と振り返る。2011年春夏コレクションでデビュー後は、ロマンチックな世界観と、国際色が豊かな背景を反映させた独自のクリエイションで高い評価を得ており、ロンドンや日本のドーバーストリートマーケット(DOVER STREET MARKET)をはじめ香港のI.T、コレット(colette)といった感度の高いセレクトショップが取り扱っている。
 「デザイナーになってなければ花屋になりたかった」と言うほどの花好きで、花のモチーフはコレクションでも毎回登場している。「ドーバーストリートマーケット ギンザ」のインスタレーションでも、ボンディングサテンで作られた「花」が主役だ。また、「私服はほぼ毎日真っ黒」だという「黒」という色も彼女にとっては重要な要素。「テクスチャーの違いやシルエットが際立つ色なので、探求したくなる」と話す。服づくりにおいて、「服にフィーリングを吹き込むこと。そのためには、私が服に対して誠実であることが必要で、自信を持つことができ、心から好きと思えることが大事だと思っています。目指しているのは使い捨ての洋服ではなくて、自分が誇れる服を生み出すことです」と語り、ブランドとしてのアイデンティティを確立してきた。「ビジネス面においても着実に成長できているのは、ブランドの世界観が伝わっている証」と手応えを感じているようだ。
 J.W.アンダーソンをはじめ若手デザイナーの活躍が目立つロンドンについて「本当の意味の自由と個性があるという点が素晴らしいところ。ファッションの教育も素晴らしいし、卒業後のサポートも充実しています。独創的でいることのできる場所です」といい、今後も発表拠点をしばらく他に移すつもりはないという。「コレクションと同様、取引先に関しても量(quantity)よりも質(quality)だと考えています。良いスペースを与えてもらっているし、インスタレーションをやらせていただけてとても満足していますので、無理に拡大するつもりはありません」と話し、今年で創立5年を迎えるが「まだお祝いするには早過ぎる。10周年に向けて良い作品を作り続けること、親交のあるストアとの関係を続けることに力を注ぎたい」と、地に足のついた成長を目指しているようだ。