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F速分析:僚友対決を制することができるか、ロズベルグ

2015年05月10日 17:10  AUTOSPORT web

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ニコ・ロズベルグ&ルイス・ハミルトン(メルセデス)
メルセデス同士の一騎打ちとなったF1スペインGPの予選は、ルイス・ハミルトンのアタックを退けたニコ・ロズベルグが開幕5戦目にしてようやく今季初のポールポジションを獲得しました。これでハミルトンの連続ポール記録を止めたロズベルグは、ポールスタートが圧倒的有利と言われるカタルニアで今季初の勝利を目指すことになります。

 ロズベルグが日曜の決勝でも勝つためには、なんといってもチームメイトにして最大のライバルであるハミルトンを倒さなければなりません。ここカタルニアは伝統的に抜きにくいコースと言われ、過去10年をみても2011年と2013年を除く8回がポールポジションからの優勝と、非常にポールシッターの勝率が高いサーキットです。
 今回ポールポジションにつくロズベルグは、2013年にポールスタートを活かせなかった苦い経験(決勝6位)がありますが、当時彼がドライブしていた2013年型のW04は典型的な一発型のマシンで、決勝では必ずと言っていいほど失速するような状況でした。

 しかし、今のメルセデスは予選、決勝に関係なく速く、総合バランスに優れたマシンです。しかも今回は、ここ数戦に比べてフェラーリの脅威がそれほど高くなさそうな状況です。金曜日フリー走行2回目のロングランでは、メルセデスに対してフェラーリ勢は安定感こそあるものの、0.5~1秒程度のペース差が存在するように見えました。前戦バーレーンで終盤見事な追い上げをみせたキミ・ライコネンに至ってはグリッド7番手に沈んでしまっており、今回はメルセデスを脅かす存在にはなり得ないように思います。
 こうなると、ロズベルグが抑えるべき相手は同じマシンを駆るハミルトンのみ。そして、まずはスタートでハミルトンの前を死守すれば、勝利の可能性はグッと近付きます。ピレリは決勝に向けたリリースで理論的には3ストップが最速ではあるも、実質的には2ストップ(ミディアムでスタート→23周目に再びミディアムを装着→50周目にハードに交換)がベストな戦略になると予想しています。
 仮にロズベルグとハミルトンが同じ2ストップを採用したとすれば、ロズベルグはタイヤをうまくマネージメントし、ハミルトンのペースを見ながらレースを進めて行けば、勝利の可能性はさらに大きくなります。とはいえ、ハミルトンのプレッシャーは相当なはず。今季初のポールスタートとなるロズベルグが、このレースでどんな戦いをみせるのか? 非常に楽しみであるとともに、今後のタイトル争いの行方にも大きな影響をおよぼすことは間違いないでしょう。

 今回はペース差があるとは言え、フェラーリ勢も当然のことながらメルセデス勢にチャレンジを挑むはずです。ただ、メルセデスを破るには、仮にスタートで前に出ることに成功したとしても、金曜日に示したロングランペースを上回る速さを発揮しなければなりません。ですから、現実的には、バーレーンでメルセデスがBBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ)のトラブルに見舞われた時のように、ライバルがなんらかのトラブルやミスを犯すのを待ち、その際すぐにポジションを奪える位置につけておきたいところ。それが、今回彼らにできる最大限のこと、と言えるのではないでしょうか。幸い、彼らの後ろにつけるバルテリ・ボッタスのウイリアムズはデグラデーションの値が大きいため、後ろからのプレッシャーはそれほど脅威とはならないはずです。
 また、フェラーリは金曜FP2で、ミディアムタイヤのロングランを行いませんでした。デグラデーションがどのくらいなのか、気になるところです。仮にその値がハード同様小さいものであれば、そこがメルセデスに対抗できるポイントになるかもしれません。また、戦略に変化を持たせることも期待したいところ。ですが、そうなるとレースを1ストップで走り切るということになり、現実的とは言えそうもないですが......。

 もうひとつ注目したいのが、予選5、6番手でグリッド3列目を獲得したカルロス・サインツJr.とマックス・フェルスタッペンというトロロッソのルーキーふたりの走りです。ペース的にも後方につける本家レッドブルと戦える力は秘めていますし、同じルノーエンジンユーザーでも、シーズンの残りエンジン数がより厳しいレッドブルは、ダニエル・リカルドがFP2をほとんど走れていません。そのため、ウイリアムズに次ぐポジションを争うことになると思われます。そして、彼らふたりがすぐ後ろから追い上げてくるはずのライコネンとどう対峙するのかも、興味深い見どころです。

 最後に、今シーズン初めて2台揃ってQ2に進出したマクラーレン・ホンダですが、今回はロングランでのデグラデーションも小さそうで、中団グループのマシンと勝負できる可能性を秘めています。実際、ジェンソン・バトンは、ロングランのペースも良かったと述べており、フェルナンド・アロンソもタイヤマネジメントはとてもうまくやれているとコメント、トップ10は現実的な目標とまで言い切っています。アロンソにとっては、大勢の地元ファンの前でのレースにもなるので、マクラーレン・ホンダの今シーズン初入賞にはこれまで以上に大きな期待が望めると言えるでしょう。

 スペインGPの決勝は10日(日)21時(日本時間/現地時間14時)のスタート。ロズベルグがポール・トゥ・ウインを決めて今季初優勝を手にするのか、それともハミルトンが王者の貫禄をみせるのか? はたまたフェラーリの驚くような逆転勝利がみられるのか? そして今季初入賞に挑むマクラーレン・ホンダの戦いもあり、興味の尽きない一戦となりそうです。

(F1速報)