フォーミュラE第7戦モナコePrixがモナコ・モンテカルロ市街地コースで行われ、e.ダムス・ルノーのセバスチャン・ブエミがポール・トゥ・ウインで優勝。フォーミュラEで2勝目を挙げた最初のドライバーとなった。
現地時刻の16時にスタートを切られた、フォーミュラEモナコePrix決勝レース。1.76kmのコースを47周して争われた。なお、ファンブーストを獲得したのは、サルバドール・デュラン(アムリン・アグリ)、ジャン-エリック・ベルニュ(アンドレッティ)、ネルソン・ピケJr.(ネクストEV TCR)の3人である。
ポールポジションからスタートしたセバスチャン・ブエミ(e.ダムス・ルノー)が絶好のスタートを切り、ルーカス・ディ・グラッシ(アウディ・アプト)の追撃をかわす。しかし、1コーナーへのブレーキングでビタントニオ・リウッツィ(トゥルーリ)のリヤにヴァージンのハイメ・アルグエルスアリが追突。そしてその先、サンテ・デ・ボーテのヘアピン(2コーナー)の先では、アウディ・アプトのダニエル・アプトが右サイドのガードレールにクラッシュ! そこにブルーノ・セナ(マヒンドラ)、デュラン、ロイック・デュバル(ドラゴン)、リウッツィ、スコット・スピード(アンドレッティ)らが追突。コースを塞ぐような多重クラッシュが起きてしまう。ここでセーフティカーが入る。
なんと1周目に7台以上のマシンがクラッシュに巻き込まれ、うちセナとアルグエルスアリは早々にリタイア。なんとかピットまで辿り着いたマシンも、大きなダメージを負っているクルマが多く、デュラン、ベルニュ、デュバル、アプトがマシンを乗り換えることになる。
大きなクラッシュだったもののマシンの撤去は早く、4周目からレース再開。ここからはブエミとディ・グラッシの2台が、3番手以下を引き離していく。
その3番手につけたのはジェローム・ダンブロジオ(ドラゴン)。この後方にピケJr.、ステファン・サラザン(ベンチュリ)、ニコラス・プロスト(e.ダムス・ルノー)、サム・バード(ヴァージン)らが数珠つなぎで続いていく。実質的にこの時点で、上位争いはこの7台に絞られた。
7周目、メインストレートでピケJr.がファンブーストを使い、ペースの上がらないダンブロジオを攻める。ここで攻略することはできなかったが、続くサンテ・デボーテから続くストレートのエンド、F1で言うヌーベルシケインでインに飛び込み、ダンブロジオをオーバーテイク。これでピケJr.が3番手に上がる。
2番手のディ・グラッシと3番手のピケJr.の差は最大3秒程度まで広がるが、15周目頃からその差は縮まり始め、18周目にはピケJr.がディ・グラッシの背後に迫る。上位はこれでひと固まりの集団となっていく。
動きが出たのは24周目。この周終了時点で、ディ・グラッシ、サラザン、プロストがピットインしてマシンを乗り換える。ディ・グラッシはバッテリーを10%も残した状態でのマシンチェンジ。これは、ブエミをなかなか抜けないためにアンダーカットを狙ったものと考えられるが、最後までエネルギーがもつのが、心配なところだ。
ちなみに、今回のレースで定められたピットイン時の最低タイムは73秒。コースを1周走るよりも長い間、ピットに留まらなければならないことになる。
25周目終了時点でダンブロジオ、バードもピットイン。26周目終了時点ではブエミ、ピケJr.がピットに入る。ブエミは先頭でコースに戻ることに成功し、ディ・グラッシは2番手。ディ・グラッシのアンダーカットは成功せず。ピケJr.が3番手で続き、バードはピットインで順位を4番手にまで上げる。
アンダーカットはならなかったとはいえ、ディ・グラッシはブエミのすぐ後ろに迫り、ふたたびふたりによる先頭争いが繰り広げられることになる。一方、3番手争いは、ピケJr.とバードにダンブロジオが加わり三つ巴だ。
エネルギー残量が心配なディ・グラッシはペースを上げることができず、徐々にブエミから離れていく。そして、ここに再び迫るのはピケJr.。ディ・グラッシとピケJr.は、予選時の進路妨害についてひと悶着あり、あたかもその代替戦のような格好だ。しかも、ピケJr.はファンブーストの使用権利を持っている。
42周目のメインストレートでピケJr.はファンブーストを使用。サンテ・デボーテではテール・トゥ・ノーズの状態になり、そのまま第2のストレートへ。ディ・グラッシはヘアピンでインに飛び込まれるのを警戒し、ブロックラインを走る。結果、ピケJr.はオーバーテイクに失敗。抜けなかったピケJr.のペースはその後急激に鈍り、差が開いていく。
先頭のブエミはそのまま47周を逃げ切り、フォーミュラEで初めて2勝目を挙げたドライバーとなった。また、ポール・トゥ・ウインもフォーミュラEでは初めてのこととなる。2位フィニッシュはディ・グラッシ。3位には最後バードに迫られたものの、ピケJr.が入っている。4位にはそのバード、以下ダンブロジオ、プロスト、サラザン、スピード、シャルル・ピック(ネクストEV TCR)、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(アムリン・アグリ)が入っている。
大混乱で始まったモナコePrix決勝。しかしレースが再開された以降は、ブエミ、ディ・グラッシ、ピケJr.、バードらフォーミュラE優勝経験者による、手に汗握る好レースとなった。
次のフォーミュラEのレースは5月23日(土)、ドイツ・ベルリンの市街地コースで行われる。
■フォーミュラE第7戦モナコePrix 決勝結果
1.セバスチャン・ブエミ(e.ダムス・ルノー)48'05''225
2.ルーカス・ディ・グラッシ(アウディ・アプト)+2''154
3.ネルソン・ピケJr.(ネクストEV TCR)+4''634
4.サム・バード(ヴァージン)+4''801
5.ジェローム・ダンブロジオ(ドラゴン)+5''881
6.ニコラス・プロスト(e.ダムス・ルノー)+11''032
7.ステファン・サラザン(ベンチュリ)+26''472
8.スコット・スピード(アンドレッティ)+41''138
9.シャルル・ピック(ネクストEV TCR)+49''538
10.アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(アムリン・アグリ)+52''658
11.ニック・ハイドフェルド(ベンチュリ)+52''936
12.ヤルノ・トゥルーリ(トゥルーリ)+58''984
13.カルン・チャンドック(マヒンドラ)+1Lap
DNC.ビタントニオ・リウッツィ(トゥルーリ)+11Laps
DNC.ジャン-エリック・ベルニュ(アンドレッティ)+14Laps
DNF.サルバドール・デュラン(アムリン・アグリ)+19Laps
DNF.ロイック・デュバル(ドラゴン)+23Laps
DNF.ダニエル・アプト(アウディ・アプト)+33Laps
DNF.ハイメ・アルグエルスアリ(ヴァージン)+47Laps
DNF.ブルーノ・セナ(マヒンドラ)+47Laps
最速ラップ:ジャン-エリック・ベルニュ(アンドレッティ)55''157