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Perfumeとももクロ、今の共通点は? 同時チャートインの楽曲から分析

2015年05月09日 19:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『Relax In The City / Pick Me Up(完全生産限定盤)(DVD付)』

参考:2015年4月27日~2015年5月3日のCDシングル週間ランキング(2015年5月11日付)(ORICON STYLE)


 今週のシングルランキングは、1位にHey!Say!JUMPの『Chau#/我 I Need You』、2位にPerfume『Relax In The City/Pick Me Up』、3位にINFINITE『24時間』、4位にももいろクローバーZ『『Z』の誓い』、5位にAAA『GAME OVER?』という並び。ジャニーズ、K-POP、女性アイドルグループが交互に並び、5位は男女混合ユニットという、バランスのいいラインナップとなった。


参考:SKE48とNMB48、同日リリースの楽曲を徹底比較 両グループの傾向を読む


 特に今週のポイントは、PerfumeとももいろクローバーZという、今のJ-POPシーンを代表する2つの女性グループの新曲がチャートに揃っていること。あまりない機会なので、今回の記事では、楽曲分析を通して2つのグループの今について考えてみようと思う。


 最初に結論めいたことから書くと、どちらも曲の傾向は「保守」である。大型タイアップを獲得したシングルということもあり、求められる役割やグループのイメージにしっかり応えるようなサウンドに徹している。


 まずはPerfumeの『Relax In The City/Pick Me Up』について。「Relax In The City」は「サッポロ グリーンアロマ」のCMソング、「Pick Me Up」は伊勢丹新宿店とのコラボレーションソングとなった。カップリングの「透明人間」もエーザイ「チョコラBBプラス」CMソングとなり、全曲タイアップの3曲入りとなっている。


 「Relax In The City」は、ビート感を抑えて生声に誓い歌を中心にしたナチュラルで爽やかなナンバー。ピアノの音色をフィーチャーし、リスニングに対応したサウンドに徹している。


 「Pick Me Up」はEDM的なシンセを配したパーティーチューン。とはいえ、歌のメロディにもサウンドのテクスチャーにも、どことなく上品さを匂わせている。「透明人間」も同じ方向性だ。転調を駆使したコード進行とヨナ抜き音階のメロディで不思議なオリエンタリズムを打ち出した前作シングル「Cling Cling」に比べると、日常の消費生活のBGMに近いイメージがある。


 Perfumeは今年が結成15周年&メジャーデビュー10周年のアニバーサリーイヤー。楽曲を手掛ける中田ヤスタカも、このタイミングでは新たな方向性よりも、これまで積み上げてきたキャリアを示すことを意識しているのではないだろうか。


 一方、ももいろクローバーZ「『Z』の誓い」は、映画『ドラゴンボールZ 復活の『F』』の主題歌となっている。こちらも大型タイアップだ。


 2015年に入ってからのももクロは、KISSとのコラボシングル「夢の浮き世に咲いてみな」と東京ドームでの共演、平田オリザ原作の主演映画『幕があがる』とその主題歌「青春賦」、さらには同作の舞台上演と、とにかく大きなコラボの話題がたて続けに届けられる状況となっている。もちろん、この曲もそう。MVでも『ドラゴンボール』の孫悟空やベジータにメンバー5人成りきってかめはめ波や魔貫光殺砲を放つという内容になっている。


 作詞を手掛けたのは「CHA-LA HEAD-CHA-LA」など数々の『ドラゴンボール』の主題歌を手掛けてきた森雪之丞。作曲はNARASAKI、編曲はNARASAKIとゆよゆっぺが担当し、アニソンらしいヒロイックなメロディを得意のヘヴィ・ロックのテイストに料理している。「ドラゴンボール×ももクロ」というコラボから想像される通りの、「様式美」と言っていい仕上がりと言える。


 CDシングルのランキングこそ4位であるが、公開されたばかりの映画『ドラゴンボールZ 復活の『F』』は興行収入30億を超え前作を上回る大ヒット、自身が主役をつとめた『幕が上がる』も興行収入1億を超えるスマッシュヒットを記録している。2ヶ月連続で主題歌をつとめた映画がヒットしている状況は、やはりももクロの衰えぬ勢いを象徴していると言えるだろう。


 楽曲から見えてくるのは、どちらも「保守」で「盤石」な2つのグループの今、なのである。(柴 那典)