関係者からの情報によれば、スペインGP金曜日の時点で、新たにトークンを使用して改良を施したパワーユニットを使用したチームはないことが判明した。
現在のレギュレーションでは開発費用を抑制するため、パワーユニットを改良するためにはトークンを使用しなければならない。必要なトークン数はパワーユニットの箇所によって異なるが、概ね1~3トークンを要し、パワーユニットすべてを改良すると66トークンが必要となる計算だ。また使用可能なトークン数は年度によって異なり、2014年は32トークンしか許されていない。
当初このトークンは新しいパワーユニットをホモロゲーションする際にすべて使用しなければならなかったが、レギュレーションに抜け道があることをフェラーリが発見し、ホモロゲーションを受けたあとのシーズン中にもトークンを使用することが可能になった。
開幕戦オーストラリアGP時点で使用したトークン数はメルセデス25、フェラーリ22、ルノー20。シーズン中に使用できるトークン数はメルセデス7、フェラーリ10、ルノー12となり、今年から参戦したホンダに対しては、その平均値である9が割り当てられている。
ヨーロッパラウンド開幕戦となるスペインGPに向けて、トークンを使用した改良版パワーユニットを投入してくるエンジンメーカーがあるのではないかと予想されていた。しかし、ホンダの新井総責任者はスペインGPに投入したパワーユニットにはトークンを使用していないことを明言した。
「温存しているわけではないけれど、まだトークンは使っていません。トークンに関しては使ってしまってから、投入したのが失敗したというわけにはいかないので、何にトークンを使うのかも含めて慎重に検討しないと、残りのレースに対して価値のあるものにならない」
フェラーリのスポークスマンも「スペインGPで使用しているパワーユニットにはトークンを使用していない」と語っている。またFIAのスタッフは「トークンを使用した場合、我々はメディアに情報を公開することにしている。つまり、まだどのエンジンメーカーもトークンを使用したパワーユニットを走らせていない」と教えてくれた。
だが、メルセデスのアンディ・コーウェルによると「確かにどのエンジンメーカーも、まだトークンを使用していない。ただし、それは金曜日の時点での話。金曜日の夜にパワーユニットを乗せ換えるチームで、トークンを使用したパワーユニットを投入するところがあるかもしれない」
スペインGPの土曜日に、果たしてトークンを使用したパワーユニットを投入するチームは現れるのだろうか。現れるとしたら、それはどのチームなのか。FIAの発表に注目したい。
(尾張正博)