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F1スペインGP金曜フリー走行分析:メルセデス優勢。中団は大混戦の予感

2015年05月09日 13:20  AUTOSPORT web

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2015年F1第5戦スペインGP ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)
3週間のインターバルを挟み、2015年のF1もヨーロッパに上陸して参りました。各チームの拠点からの距離も比較的近いため、ここから多くのマシンにアップデートが投入、その勢力図が変わることも多いと言われています。さて、今年はどうなっていますでしょうか? スペインGP初日のフリー走行2回目の結果から、見て参りましょう。

 やはり今回もメルセデスAMGが速そうです。ルイス・ハミルトン、ニコ・ロズベルグともにミディアムタイヤとハードタイヤの両方を履いてロングランをこなしました。そのいずれのペースも、他のライバルからは一歩抜け出ているように見えます。

 気になるのはミディアムとハードの差です。メルセデスAMGの2台は、共にミディアムでもハードでも、1分31秒台のペースで走っていました。ただ、ピレリの発表によれば、ミディアムとハードのタイム差は1秒以上ということなので、ミディアム装着時に燃料を多めに積んでいたか、もしくはハード装着時に燃料を軽くしていたか、そのどちらかだと思います。このような状況から、彼らの真のパフォーマンスは読みづらいですが、ふたりのドライバーはロングランについて自信を見せており、やはり今回もメルセデスAMGが優勝候補最有力というのは、揺るぎなさそうです。

 今季、メルセデスAMGを苦しめているフェラーリは、セバスチャン・ベッテルが「メルセデスとはギャップがある。悪いニュースだ」と語るなど、苦悩しているようです。

 ベッテルはハードタイヤを履いて19周のロングランを実施。この時のペースは1分32秒台前半から中盤でした。この時はほとんどデグラデーション(タイヤの性能劣化によるペースへの影響)の傾向を見せておらず、非常に安定したもの。これは、レースでは強力な武器となりそうです。ただ、メルセデスAMGのペースからは0.5~1秒程度遅く、このままの差で決勝を迎えてしまうと、ベッテルの危惧通り、太刀打ちすることはできないでしょう。

 一方、キミ・ライコネンのロングランのペースは、ベッテルよりさらに0.5~1秒程度遅いものでした。ライコネンは「クルマの感触が悪い」「1周をまとめることができない」と不満を述べており、今回は苦しいレースになることが予想されます。

 なお、フェラーリのふたりはミディアムタイヤでのロングランを行いませんでした。フェラーリのミディアムのペース、特にその際のデグラデーションがどのくらいなのか、非常に気になるところであります。ミディアムでのデグラデーションがハード装着時同様小さいのであれば、作戦を違えるなどしてメルセデスAMGを苦しめることもできるかもしれませんが、さてどうなるでしょうか?

 ここまでに挙げた4人のペースは他のライバルよりも良さそうで、トップ4は確定と見えます。トップ4の中でもっとも後方に位置すると思われるライコネンに一番近いのは、ウイリアムズのフェリペ・マッサとバルテリ・ボッタスのふたりですが、彼らふたりは走り出しのペースこそまずまずではあるものの、非常に大きなデグラデーションを示しています。

 マッサは1分31秒台でミディアムタイヤを履いてのロングランを開始しますが、1周あたり0.14秒程度という、非常に大きなデグラデーションでした。ボッタスのデグラデーションも0.13秒というところ。これでは、上位4台と争うのは難しいでしょう。

 ウイリアムズに続くのはレッドブルとトロロッソ、そしてロータスとフォース・インディアというところですが、これらのチームはウイリアムズからは走り出しで1秒前後遅れをとっています。ただ、この4チームは激戦になりそう。ペースやデグラデーションも似たような傾向を示していて、コース上での激しいバトルが期待できそうですし、それ以上にピットストップのタイミングなど、緻密な戦略が重要となりそうです。

 この集団に近づいているのがマクラーレン・ホンダの2台。アタックラップの速さもかなり改善し、ジェンソン・バトンが7位、フェルナンド・アロンソが11位と、上位に進出してきました。さらにロングランでのデグラデーションも小さそうで、前述の集団と勝負できる可能性もあります。こちらにも注目したいところです。

 欧州ラウンド開幕戦スペインGP。初日の結果を見る限り、メルセデスAMG優勢と見えますが、フェラーリの逆転はあるのでしょうか? また、その後方グループも混戦模様で、激しいレースになりそうな予感。上昇傾向に見えるマクラーレン・ホンダにも注目です。
(F1速報)