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マクラーレン・ホンダF1密着/スペインGP初日:どんどんタマを入れられるヨーロッパ開催、やるべきことに追われた「うれしい悲鳴」

2015年05月09日 13:00  AUTOSPORT web

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フリー走行1回目で「ストレートで伸びがない」と訴えたジェンソン・バトン
「ヨーロッパラウンドって、結構忙しい」

 スペインGPのフリー走行1日目が終了したあと、ホンダの新井総責任者はそう言って、苦笑いした。開幕戦オーストラリアGPから第4戦バーレーンGPまで、チームは機材を飛行機で共同で空輸するため「フライアウェイ」ラウンドを呼んでいる。フライアウェイでは決められた時間に決められた場所へ機材を運んでおく必要があるため、ファクトリーで開発されたパーツの投入が時間の関係で見送られるケースも少なくない。

 それに比べて、ヨーロッパ圏内で行われるヨーロッパラウンドは、自チームのトランスポーターで機材を運ぶことができるため、出発時間は調整できるし、場合によっては第2便を走らせることができる。そうなるとヨーロッパラウンドのほうが楽なように思われるが、チームがやる気になればなるほど、やるべきことが増えるので、実際には厳しいのだ。

 それを象徴していた出来事が、フリー走行1回目でジェンソン・バトンが「ストレートで伸びがない」と語っていたことである。これだけ聞くとトラブルに見舞われたかのようだが、そうではない。

「午前中は、いろんなことを確認しているだけで、あっという間に終わってしまったという感じ。シャシー側もパワーユニット側も、バーレーンからスペインに向けて変えた部分がいろいろあるので、それらを全部確認するだけでもかなり忙しく、メニューを消化するのに追われているうちに終わってしまった」(新井総責任者)

 新井総責任者によれば、ストレートで伸び悩んだのも、パワーユニットのソフトウェアのプログラムの設定の問題で「おそらく自分(バトン)が思ったところで反応しなかったからではないか」と言う。そして土曜日に向けて、こう続けた。

「これからデータをよく見直して、(ソフトウェアのプログラムを)上手にまとめあげて、フリー走行3回目に臨みたい」

 つまり、スペインGP初日のマクラーレン・ホンダは、やるべきことがたくさんあって悲鳴をあげていたわけだ。しかし、それはこれまで4戦では経験できなかった、うれしい悲鳴のように聞こえた。

(尾張正博)