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実写映画「シンデレラ」が好調 "青いドレス"には日本人女性が衣装製作に参加

2015年05月09日 08:52  Fashionsnap.com

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全国公開中の映画「シンデレラ」の衣装デザインを手掛けたサンディ・パウエル(左)と、キーヴィジュアルにもなっている青のドレスの製作に携わった宮本遥香さん Image by: Fashionsnap.com
ディズニーの不朽の名作を実写化した映画「シンデレラ」が好調だ。4月25日の公開から2日間で約42万人を動員。2015年公開の洋画作品におけるオープニング成績1位のスタートを切っており、5月6日までの期間では興行収入約29億円、観客動員数約232万人を記録している。ロマンティックなイメージを保持しつつ現代版にリバイバルされた美しい世界観は、アカデミー賞に3度輝いているサンディ・パウエルが手掛けた衣装デザインにも表れているが、中でもキーヴィジュアルになっている青いドレスは、ある日本人女性が大きく貢献しているという。

シンデレラに日本人スタッフ参加の画像を拡大

 「シンデレラ」の衣装に携わったのは、1987年生まれの宮本遥香。19歳でロンドンに留学し、卒業後も現地でテディベアの制作や衣装製作などものづくりの仕事をしてきた。コスチュームデザイナーの知人からの紹介で今作の仕事の話をもらった当時のことを「話が良すぎると思った」と振り返る。担当は、衣装の飾り付けや衣装小物の製作、撮影後の補修を手がけるコスチュームモデラー。デザイナーを支える側として、「サンディの目指すものを理解する」ことを心がけたという。
 青のドレスについてサンディは「素朴さや素直さといったシンデレラのキャラクターを表現するためにシンプルでなければいけなかった。だけど、どうやったらシンプルでありながらも舞踏会の中でも目立つドレスにするのか、両立するのが非常に難しかった」と、デザインに苦しんだと振り返る。宮本は、そんなサンディの要望に合わせて、水や煙を着想源にボリュームはありつつ軽やかに見えるように制作。胸元を飾る蝶は「少女だった頃の気持ちを考えながら」作り上げた。制作中は限られた時間の中で実力を発揮することに集中し「ドレスが特別かどうか考える余裕がなかった」と言うが、完成したドレスを見た時は「迫力満点だった。仕事が終わって、今頃になってメディアでトレイラーや広告を見て、あのドレスが特別だったのを実感。この仕事に関われたことを光栄に思う」と話している。これまで"男臭い映画"を多く手掛けてきたサンディもまた、初となったガラスの靴を含め同作の衣装をデザインすることは「一種のチャレンジ」だったという。「自分の仕事について反省することもあったが、完成した映画を観客と見た時には素晴らしい出来だと思った」と、様々なスタッフと作り上げた作品の仕上がりに満足している。
 「張り合うのが苦手なので、デザイナーになりたいと思ったことはない。ただものづくりが好きなだけ」という宮本は、今後について「好きなもの、作りたいものを作って世界を舞台に展示したい」という。広島の自然溢れる場所で生まれ育ったことから、環境問題にも敏感。「大きな映画のプロダクションで働いていることは自分の哲学と矛盾していますが、今は経験を積んで色んな角度から物事が見れるようになりたい。最終的には自分の能力を生かして自然を守る活動ができたら。環境破壊が続くと、映画をとっている場合ではなくなりますから」と展望を語っている。