米ビジネスインサイダーが、EY税理士法人が実施した「世界の会社員の働き方」に関する調査結果を紹介しています。世界8か国の9700人を対象に調査を行ったところ、週40時間以上働く管理職は46%を占めたそうです。
週40時間以上働く管理職の割合が最も高かったのは、メキシコの61%。次に高かったのは、米国の58%でした。最も割合が低かったのは中国の19%で、記事では「米国人の状況は特に悪い」と危機感を強めています。
以前と同じ仕事を「ハイスピードでこなしているだけ」
この記事に対しては、業務の生産性を上げるはずだったIT化によって、かえって長時間労働が増えているのではないかと嘆く読者のコメントがあがっています。
「80年代や90年代は、IT化で自由時間が増えると信じていたのにね。Ha!」
「本当にそう。80年代90年代にしていたのと同じ仕事を、コンピュータをつかってハイスピードでこなしている。空いた時間はかつてより多くの仕事をこなすのに使っているだけ」
従業員を2人雇うよりも1人に残業させた方がより安上がりだから、労働時間が長くなるのだという指摘もありました。まるで日本のサラリーマンの「サービス残業」のようです。
また記事では、多くの人が柔軟な働き方を望んでいる一方で、スケジュールに融通を利かせようとした人の10%は「昇進が難しい」などマイナスの結果を被っているとのことです。
筆者のシャナ・レボウィッツさんは、「社員をつなぎ止めたかったら、裁量性のある働き方を考えた方がいい。『柔軟な働き方を上司に認めてもらえないなら、仕事を辞めることを考える』と答えた人は3分の2を超えるほどいるのだから」と記事を締めくくっています。
「ワークライフバランスが取れなくなった」のは悪いこと?
読者もシャナさんのこの結論に賛成のようで、こんなコメントがついています。
「フレックスタイムは本当に良い制度。ラッシュアワーもないし、遅くまで寝ていられるし…」
ただしフレックスタイム制や在宅勤務を導入しただけでは、労働時間が短くなったり成果が大きくなったりするとは限りません。生産性が格段に上がれば話は別ですが。
調査では意外なことに、週40時間以上働くと答えた日本の管理職は43%で、下から3番目という低さでした。肌感覚ではメキシコの61%よりもはるかに高く、100%近いのではないかと思うのですが、これは日本の回答者に偏りがあるのでしょうか。
なお、過去5年間でワークライフバランスが取れなくなったと答えた日本人は44%と、ドイツの49%に次ぐ数値。ただし年を追うごとに仕事が忙しくなるのは、昇格して責任が重くなっている可能性もあるのではないでしょうか。昇給が伴っているのであれば、必ずしも悪い話ではない気がします。(文:遠藤由香里)
(参照)The 40-hour workweek is on its way out (Business Insider)
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