2015年05月08日 17:01 弁護士ドットコム
医療事故で刑事罰を受ける可能性に、医師たちの「9割」が不安を感じている。医師専用の会員制サイト「MedPeer(メドピア)」が、会員の医師を対象に行ったアンケート調査で、そんな結果が出た。
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このアンケートは「医療事故において、業務上過失致死傷罪として刑事罰(5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金)が課せられ得る」と述べたうえで、医師たちに対して「医療事故によって刑事罰を受けることがあり得ることについて、現実の問題として不安に感じますか?」と問いかけた。
回答を寄せた3820人の医師のうち、90.7%が「不安あり」と答えたという。また、医師たちの多くは、結果的に有罪となって処罰されることよりも、逮捕・勾留をメディアに報じられ、有罪視されて社会的信用を失うことを恐れていることがわかった。
医師たちはどんな点に不安を感じているのか。アンケートの中身をみていくと、社会的信用や職業を失うことへの不安が、全体の半数近くを占めていた。
もっとも心配されていたのは、「逮捕・勾留などによる社会的信用の喪失・失職・キャリアプランの変更」で、全体の24.1%だった。
医師たちは、その選択肢を選んだ理由を、次のようにコメントしていた。
「日本の社会は、逮捕されただけで有罪と同じような社会的制裁をする社会だから」(60代・産婦人科)
「素人の判断で逮捕されては、無罪が確定してもイメージダウンは挽回できない」(50代・脳神経外科)
不安に思う点として、2番目に多かったのは「メディア報道による社会的信用の喪失・失職・キャリアプランの変更」で、22.3%だった。こちらの選択肢を選んだ医師たちは、次のような理由を挙げていた。
「メディアの報道だけで社会的な立場を喪失することになります」(50代、一般内科)
「冤罪であっても、報道されると、取り返しがつかないと思います」(40代、循環器内科)
一方で、懲役など「刑罰」を受けることそのものについての不安は7.2%(5位)にとどまっており、次のようなコメントが寄せられていた。
「刑務所には行きたくない。でも、相当悪質でなければそのようなことにはならないと思う」(40代、消化器外科)
(弁護士ドットコムニュース)