スペインGPの舞台であるバルセロナでは、再び「ハミルトン、フェラーリ入り」の噂がまことしやかに囁かれている。
あるイギリス人ジャーナリストは、こう語る。
「マクラーレンで最初のチャンピオンに輝き、メルセデスで再び成功を収めているルイスにとって、残された道はフェラーリでチャンピオンになること。今年復活したフェラーリに来年移籍するのはタイミングとしてはベストだろう」
メルセデスで勝ち続けているにもかかわらず、ハミルトンがフェラーリへ移籍することは本当にあるのだろうか。
「まだ早いかもしれないが、もしフェラーリがキミ(ライコネン)との契約を継続せずにバルテリ(ボッタス)を獲得した場合、フェラーリはしばらくセバスチャン(ベッテル)とバルテリの体制となり、移籍が難しくなる。ルイスとしては、その前にフェラーリへ行きたいのではないだろうか」(前出のイギリス人ジャーナリスト)
木曜日の会見で、フェラーリ入りの可能性を質問されたボッタスは、「いろんなウワサが出回っていて、僕がフェラーリと仮契約したなんていう笑ってしまうようなものもある」と密約については否定しつつも、「来年のことは、まだ何も決まっていない」とフェラーリへの移籍を完全否定はしなかった。
もしハミルトンが、ボッタスを警戒して2016年からフェラーリ入りした場合、空いたメルセデスのシートに座るのは誰か? スペイン人ジャーナリストは「その場合はフェルナンド(アロンソ)に間違いないだろう」と語る。
「フェルナンドがマクラーレンと結んでいる3年契約には、メルセデスからオファーがあった場合に解除できる特記事項があると言う者もいるが、私は、それは存在しないと思っている。ただし、F1の世界では契約なんてどうにでもなるということは2007年の例を思い起こせばわかるはずだ」
アロンソは2007年シーズンの終わりに、当時3年契約で加入したマクラーレンから1年限りで離脱している。
とはいえ、現在最強のメルセデスからハミルトンが出て行くだけの理由が見当たらないのも事実だ。それについて前出のイギリス人ジャーナリストは、こう言って注意を促した。
「私は、ルイスがマレーシアGP後に『(メルセデスとの)交渉は99.4%のところまで来ている』と語ったのを聞いている。これは残りが0.6%であるということを単純に意味するものではないんだ。イギリス人がこういう数字を出すときは『まだ100%には達していない』という意味で使う。つまりルイスには、メルセデスとの契約にサインするために、まだ何か決定的に足りないものがあるはずだ」
それがフェラーリ入りという誰もが抱く夢なのかどうかはわからないが、残り0.6%を埋めるために時間がかかりすぎていることは確かだ。
(尾張正博)