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「妻とは別れる」愛の約束を破った不倫相手に「復讐」したい・・・弁護士の答えは?

2015年05月07日 11:21  弁護士ドットコム

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不倫男の常套句「妻とは別れる」。そんな言葉を信じて1年以上も不倫関係を続けたあげく、裏切られた独身女性から「家庭を選んだ不倫相手に復讐したい!」と、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに相談が寄せられた。


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不倫に抵抗はあったものの、相手からの熱心なアプローチにほだされ、つい関係を始めてしまったという相談者。しかし、不倫相手の妻にそんな関係がバレてしまった。



相談者の女性と不倫相手の男性、そして、その妻の3人で話し合いの場がもたれると、不倫相手は、あっさりと「子供達に会えなくなるのが一番辛い」から別れない、と口にした。その妻も、夫とやり直すことを決めたという。



1人取り残された相談者は「『離婚するかも』『離婚したら一緒になってくれる?』と言っていたのに・・・。離婚させて、私の悔しさを味わせるなり、とにかく復讐がしたい」と怒っている。



離婚させることは難しいとしても、このようなケースで、自分を捨てた不倫相手の男性に、慰謝料などを請求できるのだろうか?離婚問題にくわしい濵門俊也弁護士に聞いた。



●不倫とわかっていても「慰謝料請求」はできるか?


「お気持ちは察するに余りありますが、基本的には、慰謝料請求をしても、裁判所は認めてくれない可能性が高いですね」



そう語る濵門弁護士だが、自身が担当したある「例外的な事案」を紹介する。



「たとえば、男性が相談者の女性に妻子持ちであることを隠しており、相談者の女性が『結婚してほしい』との男性の言葉を信じたうえで、婚約の成立が認められるような場合は、慰謝料請求を認めてくれる可能性があります」



残念ながら、相談者の場合は、相手が妻子持ちだと認識してようだ・・・。



「相談者の女性は『相手が妻子持ちと分かっていた』とのことですし、『離婚するかも』『離婚したら一緒になってくれる?』などの甘言だけですと、婚約の成立が認められるとは到底思えませんから、慰謝料請求は認められないでしょう」



むしろ逆に、慰謝料を請求される可能性があるという。



「相談者の女性は、不倫相手の男性に復讐するどころか、逆に男性の奥さまから、慰謝料請求をされる可能性もあります。



過去の判例をみると、離婚調停において、妻が夫に対し、不貞行為に基づく慰謝料の支払を免除したとしても、不貞行為の相手方に対し債務を免除する意思を含むものではないとして、相手方に対し、慰謝料として認定した額300万円の支払を命じた最高裁判決(最判平成6年11月24日民集173号431頁)もあります。



また、男性とその奥さまが離婚しない場合でも、奥さまが相談者の女性に慰謝料請求することは可能です。ご注意ください」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
事務所名:東京新生法律事務所