先日、結婚して5日で嫁さんに逃げられた親戚から、こんな言葉をいただいた。うだつの上がらない彼にしては素晴らしい言葉を言うなあと、僕は素直に感心した。
「いいかミゾレ、自分を高めるためには『説教』『自慢話』、それから『思い出話』の3つは抑えるんだぞ」
翌日、録画していた4月27日放送分の「人生が変わる1分間の深イイ話」(日本テレビ系)を観ていて、思わずひっくり返った。オリエンタルラジオが登場するVTRに高田純次が登場し、現役を続けるためのルールとして、こんなアドバイスをしていたのだ。
「説教、自慢話、思い出話は抑えていかないと。自分が伸びないからねえ」
人に愛されるためには、自分が成長しなければならない
件の親戚があっという間に嫁さんに愛想を尽かされた原因の一端が、図らずも分かってしまった(たぶんテレビで見たばかりだったのだろう)。と同時に、ためになる言葉を口にした直後に「全く思ってもない言葉を言っちゃったけどね」と台無しにしようとする高田の飾らない性格も良い意味で際立って見えた。
人に愛されるためには、自分が成長しなければならないという理屈は誰もが理解しているけど、肝心の「成長するための努力法」というものを示してくれる人って、現代ではなかなか見当たらない。
僕は以前、4000円払って「愛される社会人になるために」というテーマのセミナーに参加したことがあるけど、登場した弁士の自慢話が聞くに堪えず、すぐに退席してしまった。
開始数分で自慢話をスタートしたこの人物の顔は、最近ではとんと見なくなったし名前も忘れてしまったけど、つまりそうした態度や言い聞かせが、周囲に不和を生んでしまったということだろう。
反面教師としての最たるケースが、この弁士だったとすれば、実際に発言を素直に参考にすることで自分を成長させられるのが、前述の高田純次の言葉じゃないかな。
伊達に自分で事務所を立ち上げた経営者ではない
正直、録画していた「深イイ話」の内容は、高田の登場シーンの印象が強すぎて、その後のトークやVTRのことがすっかり霞んでしまった。でもそれは僕だけじゃなかったようで、放送翌日には幾つかのネット掲示板で、高田の言動に「見習いたい」「やっぱり凄い人だ」など共感の声が寄せられている。
なによりもこの言葉は、タレントとしていつまでも現役であり続けるためのルールとしての発言でありながら、僕たち社会人全員にも参考になる。伊達に自分で芸能事務所を立ち上げて運営している経営者ではないのだ。
誰でも説教や、本人が情けない思いをしたオチの用意されてない若い頃の思い出話、どう反応していいかも分からない自慢話なんか聞きたくない。そんなのは当たり前のことなのに、こういう話を他人にしてしまう人って案外そこら中にいるような気が……。
僕は高田純次というタレントが大好きなので本やDVDもあらかた所有している。そんな僕でも自分のことを振り返ると、恥ずかしい話だけどドヤ顔で過去の成功談を話して聞かせてしまったことはある。100回ぐらいある。
社会人として愛され、尊敬され、幾つになっても求められる存在になるために、まずはこれらを封印して生きていくのもいいかもしれない。(文:松本ミゾレ)
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