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今年はGEMの年になるーーアイストカーニバルが予感させたこと

2015年05月04日 18:31  リアルサウンド

リアルサウンド

GEM『Star Shine Story(CD+Blu-ray)』(iDOL Street)

 今年はGEMの年になる。そう強く予感させられるアイストカーニバルだった。


(参考:エビ中、SUPER☆GiRLS、TPD……中規模アイドルグループの可能性を分析


 4月29日、avexのアイドル専用レーベル「iDOL Street」のユニットが集結する「iDOL Street Carnival 2015 ~GOLDEN PARADE!!!!!~」が東京・渋谷のNHKホールで開催された。


 この日のステージでは、SUPER☆GiRLS、Cheeky Parade、GEM、この日がお披露目となるわーすた、そして研修生にあたるストリート生選抜まで、総勢58人のアイドルがステージに立ち、各グループのパフォーマンスだけでなく、当日の限定ユニットやメンバー総出演のステージなど、およそ4時間、中身の詰まったライブが繰り広げられた。が、しかし、その中でも圧倒的な存在感を示したのがGEMのパフォーマンスだった。


 およそ2年前、日本武道館で行われたアイストカーニバルで正式メンバーが決定したGEMは、avexの保守本流ともいえるダンスアンドボーカルスタイルのグループで、幼少期からダンスやタレント活動を始めているメンバーが多く、そのパフォーマンスはアイドルの枠の中ではすでに突出した存在となりつつある。


 とくに最近は、ライブのパフォーマンスや楽曲の方向性も「かわいい」から「かっこいい」の方向にはっきりとシフトしており、同世代の女の子たちに見つかれば、E-girls的な憧れの対象とも成り得るだろうし、またそうしたダンスパフォーマンスを見せながら、アイドルらしいお客さんを巻き込んだライブもできるのは、GEMだけの強みだろう。


 アイストのユニットとしては、昨年は、年少組のメンバー3人が加入したSUPER☆GiRLS、ニューヨーク公演を行ったCheeky Paradeが目立った年だったが、今年はGEMの年になる、とそんな予感を強く感じさせられた。


 もう一組、今回のアイストカーニバルの目玉と言えるのが、この日ライブデビューとなった第四弾ユニットのわーすただろう。わーすたは坂元葉月、廣川奈々聖、松田美里、小玉梨々華、三品瑠香の5人組。アイドルストリートは、アイドルの王道=ハロー!プロジェクトの影響を色濃く受けているのが特徴で、第一弾ユニットのSUPER☆GiRLSは全盛期のモーニング娘。を念頭に置いた12人編成でスタートしたし、その後のユニットもチキパが9人、GEMが10人と中規模編成のユニットが続いた。


 だが、2010年以降の「アイドル戦国時代」と呼ばれるグループアイドルの盛り上がりの中で、グループの人数構成は、AKB48のような圧倒的な多人数型か、ももいろクローバーZ、でんぱ組.incのような個のキャラが立った少人数型か、どちらかの体制が優勢で、モー娘。型の中規模編成アイドルは苦戦を強いられている。


 わーすたはアイストが初めて挑戦するももクロ・でんぱ型の個のキャラクターを前面に押し出すタイプのユニット構成になっている。選ばれた5人は、アイストの研修生にあたるストリート生からの選りすぐりメンバーで、個性とグループとしてのバランスが両立できるようなメンバーが揃った。今回はお披露目ということで、カントリー調、ディスコ調、ラテン調のオリジナル曲3曲を披露、2週間で仕上げたとは思えないパフォーマンスの完成度で、今後への期待も高まる。


 一つ懸念点を指摘するなら、アイストのユニットは基本的にコンセプト重視で、何が見せたいのかはっきりしている一方で、どうしても型にはまりがちな印象がある。これから個を生かすユニットを育てていくのであれば、メンバー自身やファンの反応を反映しながら、当初の想定からは外れる部分も含めて、おもしろい方向に転がしていくような、柔軟さを持った運営が求められていくことになるだろう。それはレーベルとしても新たな挑戦になるだろうし、まずは何より彼女たちに、より多くの実践の経験を積む場が与えられることを期待したい。(岡田康宏)