僕は早起きが苦手なので、朝よりも夜に放送されている番組ばかり観ている。だから必然と、思うところがあってコラムを書く対象も、夜間に放送されている番組ばかりだ。
4月26日に放送された「トーキョーライブ22時~ニチヨルまったり生放送中~」(テレビ東京系)が、放送翌日にちょっとした話題となった。この番組に出演していたフィギュアスケーターでありタレントとしても活躍している浅田舞が、東京都港区に対して複雑な心中を吐露していたのがきっかけだ。
名古屋出身の彼女には自慢気に感じるのか
この日のテーマは「東京が苦手な芸能人」。浅田は、「港区出身の人物はドヤ顔で港区に在住していることを宣言する」と発言した。特に六本木に対して抵抗があるようで、価格の高い六本木ヒルズで「わざわざ女子会をする意味が分からない」とも。
確かに港区といえば六本木があったり青山や赤坂があったり、麻布や白金台や東京タワーがあったりして都会的でハイソなイメージがある。その港区に住んでいる人が自慢気に見えて、名古屋出身の彼女からすると、なんとなく苦手意識を持ってしまうのだろう。
僕は新潟在住者だけど、取材や打ち合わせで都内をうろつくことが多い。港区にも立ち入るんだけど、僕もあの付近を歩いていると、自分が田舎者に見られているのではないかと気後れする(田舎者だけど)。だから浅田の言うことがよく分かる。
世界は「港区」を中心に回ってると思っているのか
港区在住の人と話をしていて、ちょっと気を抜くと、なぁんか会話が港区寄りになってると感じることもある。「港区で外食は選択肢にないなあ」と言おうものなら、もう止まるところを知らない。
「ええ!? もったいない! 港区に足を踏み入れるんだったら『○○○』とか『×××』には行かないと! あたしだったら『△△△』のコース料理が云々…」
こう強く押されると、つい「コイツは世界が港区を中心に回っていると思っているのか?」とウンザリしてしまう。そんな浮ついたことを言ってるけど、あなたたちだって元は田舎者じゃないですか。
しまいには僕の勝手な被害妄想から、港区在住の人物に取材を申し込むとき、「あ、なんかコイツ『港区在住の俺が話をしてやるぞ』とか思ってんじゃんねえか?」とか思っちゃうことまである。それほど、僕にとっても港区は鬼門なのだ!
私たちの故郷愛が「何するものぞ!」と反発させる
もちろん「考えすぎなんじゃない?」とバカにする人もいるだろう。確かに僕は、自分の故郷が素晴らしいと誇りに思っているし、浅田舞だってそう思っているに違いない。その故郷愛が「東京都港区、何するものぞ!」と反発させるのである。悪いのは港区ではなく、我々なのだ。
その一方で、「自分の故郷を捨てて、何が『港区好き』なんですか? それに偉いのはあなたたちじゃなくて、港区じゃないですか」と言いたくもなる。
たまたま金持ちの夫と結婚できたから、住所が港区になっただけじゃないか。それを、まるで自分の力で勝ち取ったみたいにして…。苦心して手に入れたタワマンだってすぐに手狭になり、実はローンの返済に汲々としている人もいるだろうに。
だからこそ彼らも、突っ張らなくてはやってられないのかもしれない。「聞いてもないのにドヤ顔で港区在住をアピールする」という浅田舞の苦言は、やっぱり根拠のないものでもないと思うのだ。(文:松本ミゾレ)
あわせてよみたい:フット後藤が「ギター芸人」披露!