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「性同一性障害」児童生徒への配慮――文科省が通知した「具体的な事例」の中身とは?

2015年05月01日 14:31  弁護士ドットコム

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心と身体の性別が一致しない「性同一性障害」の児童・生徒に対して、学校はどのように対応するべきなのか――文部科学省は4月30日、その具体的な方法を、各地の教育委員会などに初めて通知した。


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通知は、性同一性障害の児童・生徒について「特有の支援が必要な場合がある」として、さまざまな対応方法を挙げている。



学校での支援体制については、その内外に「サポートチーム」を作ることのほか、校内で支援委員会を開いたり、校外でケース会議を開催しながら対応を進めることを推奨している。さらに、医療機関との連携や、保護者との関係構築、教育委員会による支援についても、注意点を挙げている。



●具体的な「支援の事例」は?


また、文科省は、具体的な「支援の事例」として、次のような施策を挙げている。



【服装】


自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める。



【髪型】


標準より長い髪型を一定の範囲で認める(戸籍上男性)。



【更衣室】


保健室・多目的トイレ等の利用を認める。



【トイレ】


職員トイレ・多目的トイレの利用を認める。



【呼称の工夫】


校内文書(通知表を含む)を児童生徒が希望する呼称で記す。


自認する性別として名簿上扱う。



【授業】


体育または保健体育において別メニューを設定する。



【水泳】


上半身が隠れる水着の着用を認める(戸籍上男性)。


補習として別日に実施、またはレポート提出で代替する。



【運動部の活動】


自認する性別に係る活動への参加を認める。



【修学旅行等】


1人部屋の使用を認める。入浴時間をずらす。



●約6割の学校が「特別の配慮」を実施


文科省が2013年4月~12月に全国の小中高校で調査した結果によると、児童・生徒本人が性別違和を抱き、本人・保護者が「性同一性障害」を認識しているケースとして、606件の報告があった。報告があったのは、高校段階が66.5%で圧倒的で、中学段階は18.2%。小学校段階は15.4%だった。このうち学校が「特別の配慮をしている」のは、約6割だった。



なお、606件はあくまで学校が把握しているケースでの任意回答にすぎず、児童・生徒が望まない場合は回答しなくてもよいため、全国に「これだけしかいない」というわけではないとのことだ。


(弁護士ドットコムニュース)