2015年4月26日放送のアニメ「サザエさん」(フジテレビ系)では、専業主婦のサザエさんがスーパーマーケットのパートとして働きに出た。その内容が物議を醸している。
カツオが学校から帰宅すると、サザエさんはスーパーの制服姿でポーズを取っている。「どう? 似合うでしょ?」というサザエさんに、タラちゃんも「ママはスーパーのお姉さんですー」とご機嫌だ。
「ひとくち餃子の試食販売」はうまくいったが…
だが、サザエさんはパートに出ることを、家族に相談しなかったらしい。反対されるのがイヤだったようだが、父・波平に「勝手に決めてきて賛成も反対もなかろう」とたしなめられる。だがサザエさんは意に介さず、すぐに採用になったことを「美人は得よねー」と自慢している。
スーパーでは弁当や惣菜を作るサザエさん。さらには売り場に出て、ひとくち餃子の試食販売で黒山の人だかりをつくることに成功する。客から「あら美味しそうねぇ」といわれるなど好評で、サザエさんも「美味しいですよ!」とにこやかに勧めるなど、順調かに思われたが…。
帰宅したサザエさんは、妙に疲れきっている。タラちゃんが「遅いです!」と怪訝な顔で出迎えると、「人が足りなくて、最後にレジまで頼まれちゃった…」のだそう。夕食を食べる元気もなく、「もうクタクタ」とため息をつく。そして翌日。
カツオ「もう辞めるっていうの?」
サザエ「タラちゃんも寂しがってるし、働くためにはもう少し体を鍛えないとねー」
サザエさんはパートを数日で辞めてしまった。そして、辞める理由となった体力不足を解消するため、なぜか「スーパーで大量に買い物をしよう」となる。どんどん食料などをカゴに入れ、最後は重い荷物を持ってスーパーを出てきて、ストーリーは終わる。
識者「仕事を投げ出すなど、ありえない話」
この話はツイッターで放送中から盛り上がり、「サザエさんがパートで働くとは!時代なのね」「パートするだけでこんなに大騒ぎなのかよw」と驚きのツイートが相次いだ。しかし、辞める段になると「一日で辞めるという暴挙」「マジでサザエさん甘え過ぎてクソワロ」と批判の声があがった。
「スーパーで一日二日働いて疲れたからやっぱ辞めるって サザエどんだけ…」
「数日で辞めるサザエさんゆとりだな」
「三日坊主の理由が『もっと体力つけないとダメだわ』だったのが驚きすぎた。サザエさん以上に体力あるやついないだろ」
中小企業診断士の小紫恵美子氏は、シェアーズカフェ・オンラインの記事で、数日で仕事を辞めたことに関しては「仕事を投げ出すなど、ありえない話」と非常に批判的だ。「タラちゃんが寂しがってる」という理由を挙げたことにも「働くなんて子どもがかわいそう、という一昔前の価値観」だとする。
「働く女性の救いとなる最先端の家電を使いこなし、いきいきと働きながら、大家族の中タラちゃんを育てるサザエさんも見てみたいと思うのは私だけでしょうか」
このまま「古き良き昭和」の設定を出られないのか
この記事にも「ちょっと軽率な展開だったかもね」「そんな早く辞められるのも困るよなぁ」と共感の声もある一方で、「サザエさん一家くらい古き良き時代のままでいい」という人も多い。
「そもそもアニメというものは多数派の世相を反映するものじゃないし、主人公が昼間パートじゃこれもアニメにならない」
「原作のフォーマット変えたらいかんだろ。フリーズドライの昭和が楽しめる番組なんだから。ワカメがLINEで犯罪に巻き込まれたりすんのかよw」
なお、1988年に複数社提供となったものの、いまでも番組の主要スポンサーは東芝だ。タラちゃんにGPS付きの携帯電話を持たせたり、サザエさんの家にロボット掃除機が走ることはあるのだろうか。
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