異色のロボットアクション漫画が登場した。4月25日に第1巻が発売された青木ハヤト作「高機動無職ニーテンベルグ」は、月刊少年エース(KADOKAWA)で連載中。舞台は労働に支配されている世界、主人公の不働 遊は高校を中退して現在無職だ。
母親に遠回しに仕事を勧められても「僕は絶対に働かんぞ!! 絶対にだ!!」と言い張る彼の元に、「強制就職軍(デスマーチぐん)」が人型兵器WM(ワークマン)を連れて現れる。遊を一人前の社畜にするために、「無職罪」で逮捕しにきたのだ。
敵軍の将「二日寝てないくらいが一番体調がいいのさ」
連行される車の中で遊は、謎の少女ネル・ネラレルに出会う。実は彼女は強制就職軍に敵対する「無職同盟(リガ・ジョブレス)」を率いており、遊も仲間として加わることになる。
遊は黒いWM「ニーテンベルグ」に乗り込み、強制就職軍と戦いを繰り広げることに。ニーテンベルグは特別な能力を持ったN.E.E.T(Next Evolution Exceed Type)にしか乗りこなせない。
物語の中でN.E.E.Tなのは、遊とネルの2人だけ。自分のことを平凡な存在だと思っていた主人公が隠された能力に目覚め、仲間と共に戦うという王道のストーリーだが、主人公やヒロイン、その他登場人物の名前や台詞が笑いを誘う。
敵軍のトップエリートの名は「ワーカー・ホリック」。他人の三倍のノルマをこなす仕事ぶりで、その社畜精神から若手社員の信頼も厚い。出撃の際に部下から、「四十八時間連続任務の直後に出撃なんてムチャです。せめて仮眠を」と促されても、
「なぁに、二日寝てないくらいが一番体調がいいのさ」
とサラリとかわす。交戦中も遊に向けて、「ツメが甘いな。学生気分が抜けていない」「無職にしては良いプレゼンテーションだ。採用試験の際は私が直々に圧迫面接をしてやろう」「そんな弱腰では外回り営業は務まらん!!」「契約は取れんぞ!!」など、社畜の鏡のようなセリフを連発している。
「働かない」信念を守るためならハードな訓練も辞さない
無職同盟の彼らは、決して引きこもっているわけでもない。戦艦・リバティースが非戦闘地域の琵琶レイクに着港した際は、ハードな筋トレや特訓を行っている。
つまり「僕は働かない」という信念を守るために、過酷な戦闘を行っているのだ。読んでいるこちらが、「それなら働いた方が楽なんじゃ…?」と思ってしまうような内容だ。帯にはこんなセリフの応酬もある。
「た…たかが働く事がそんなに嫌かぁ…っ!?」
「戦うさ!! 働くくらいなら!!」
1巻目の内容は、遊が無職同盟の一員となった後は、強制就職軍との戦いが中心のため、世界がどれほど社畜に支配されているのかが言及されていない。無職同盟がそうまでして働きたくない理由とは、何なのだろうか。
最後のページは、ワーカー・ホリックが有給休暇を使って無職同盟の捕虜になる場面で終わっており、N.E.E.Tと強制就職軍の関係も匂わせている。今後どのように話が進むのか注目したい。
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