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「GW進行」に失敗して無念の「持ち帰り残業」せめて残業代をもらえないのか?

2015年04月28日 11:32  弁護士ドットコム

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「ゴールデンウィーク進行」という言葉をご存知だろうか。主に出版・広告業界で使われているようだが、ゴールデンウィーク(GW)に取引先が休業してしまう関係で、連休に突入する前に、なんとか仕事を片付けようとすることだ。ツイッターには「ゴールデンウィーク進行で生ける屍と化した日々を送ってた」など悲鳴をあげる投稿も数多く見られる。


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このゴールデンウィーク進行を乗り切ることに失敗してしまうと、せっかくのゴールデンウィークに家で「持ち帰り残業」をするという最悪の事態を迎える人がいるかもしれない。



ただ、ゴールデンウィークをつぶして仕事をするのに「残業代」をもらえないとなると、二重の意味でショックだろう。「持ち帰り残業」した労働者は、会社に残業代を請求することができるのか。労働問題にくわしい野澤裕昭弁護士に聞いた。



●持ち帰り残業は「労働時間」?


「『持ち帰り残業』をした時間の残業代を支払ってもらうためには、自宅での作業時間が労働基準法上の労働時間(業務)と言えることが必要です」



野澤弁護士はこのように切り出した。労働時間といえるためには、どんな条件が必要なのだろう。



「労働時間とは、『労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間』と定義されています。



会社や工場での作業時間は使用者の管理下にあるので、比較的容易に指揮命令下にあるといえるでしょう。しかし、使用者の直接的な管理下にない自宅については、指揮命令下にあると言えるかは微妙です」



微妙ということは、残業代を請求することは難しいのだろうか。



「判例ではこうした場合『使用者の指揮命令下に置かれていると評価できる』かどうかを判断基準としています。



具体的には、会社が労働者に対して処理しきれない程の膨大な量の作業を指示したり、あるいは、労働者がそうした状態にあることを認識しながら黙認しているような場合が当たります。



こうした場合、自宅での作業が労働時間となります」



●働いた「証拠」を残しておく


労働時間と認められれば、会社に対して残業代を請求できるのだろうか。



「いえ、それだけでは不十分です。残業代を払ってもらうには、さらに、『自宅での労働時間がどれ位あったか』ということを立証しなければなりません。



判例では、労働者がメールやパソコン、手作業など業務をしていたことは認めながら、業務の具体的内容や、費やした時間が不明だという理由で残業代を認めなかった例があります。



文書を作成した場合、文書の内容や作成に要した時間をパソコンに残す。手作業をした場合は、結果を写真で撮っておく。持ち帰り残業を立証するには、このように作業内容やそれに費やした時間が分かるような『証拠』を残しておくことが重要です」


野澤弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
野澤 裕昭(のざわ・ひろあき)弁護士
1954年、北海道生まれ。1987年に弁護士登録。東京を拠点に活動。取扱い案件は、民事事件、刑事事件、労働事件、相続・離婚事件等家事事件。正確、最善をモットーとしている。趣味は映画、美術鑑賞、ゴルフなど。
事務所名:旬報法律事務所
事務所URL:http://junpo.org/