大塚製薬が販売している炭酸栄養ドリンク「オロナミンC ロイヤルポリス」の広告を巡って、ネット上で議論が起きている。同商品は普通のオロナミンCとは一味違い、ラベル部分が金色。ローヤルゼリーやプロポリスなどを配合している。
商品サイトでは「働く女性をカラダの内側からサポートするミツバチからの贈り物」というキャッチコピーが踊る。
問題となっているのは、3月から展開されている同商品のキャンペーン広告だ。
「日本の働く女性の睡眠時間は、先進国でいちばん短いそうです」
「それは、一生懸命のあかしです。毎日ハツラツ」
主婦からも「なぜ働く女性だけなの?」と苦言
睡眠時間は、総務省の社会生活基本調査(2006年)がソースだ。仕事が忙しくてあまり寝ていない日本の女性は、一生懸命頑張っている。そんな女性にこそ、同商品を飲んでリフレッシュしてもらいたいという意味のようだ。
しかし、この広告が4月24日ごろからネットで注目を浴びることとなった。「睡眠時間の短さを称揚するのはよくない」という声が相次いだのだ。
女性向けコミュニティサイト「ガールズちゃんねる」には、このCMに対し「働きすぎ、役割多すぎの日本女性を、肯定的に見て『あげた』感がすごい」「女に媚を売ろうとして失敗したパターン」など、かなり辛らつな言葉が並ぶ。
「影響力のあるメディアがこういうこと書いちゃうから社畜や過労死する人が出てくる」
「こんなこと企業が大々的に広告してるからブラック企業が増えるんだよね」
と、長時間労働を無責任な形で取り上げると、問題が解決されないと憤る声も。「頑張りすぎないで、たまにはゆっくり休んで!」といった方が受け入れられるのでは、という意見もあった。
主婦からも、「なぜ働く女性だけなの?」「子育て中の主婦なんてもっと寝てないから!」と苛立つ批判が見られる。
バブル期の「リゲイン」との違いを指摘する声も
その一方で、少しでも気に入らない広告があれば何でも噛み付くという、昨今のネットの風潮を牽制する書き込みも少なくない。
「宣伝文句はいまいちだけど、いちいち否定的に捉えるほどでもない」
「もう何かにつけて文句ばっかり。万人にウケるものはない!」
最近も、ルミネがYouTubeに公開したドラマ仕立てのCM動画が、「女性に対して差別的である」として炎上、謝罪する騒ぎがあった。それだけ睡眠が不足し、疲れてイライラした人にリフレッシュが必要なのは、広告の通りなのかもしれない。
このほか、栄養ドリンク「リゲイン」(第一三共ヘルスケア)がバブル期に打ち出した「24時間戦えますか」というキャッチコピーを思い出した人も多いようだ。
しかし当時と今とでは、かなり事情が違うという指摘も。バブルのころは、長時間働けば残業代がたっぷり出て、生活が豊かになっていった。だがサービス残業が横行しているこのご時世には、長時間労働を推奨するような広告は時代錯誤というのだ。
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