2015年04月26日 10:41 弁護士ドットコム
今年もゴールデンウィーク(GW)が目前に迫ってきた。カレンダーを見ると、土日祝日は、4月29日、5月2日から6日までの5日間、さらに9日と10日の2日間という並びだ。こんな並びだと、「休みの隙間を有給休暇で埋めて、12連休にしたい」と考える人もいるだろう。
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しかし、ただでさえ休みが重なるこの時期、会社が有給休暇の取得を認めないケースもあるようだ。ネット上の相談サイトには「GWは有給休暇が取れないと言われました」という投稿が寄せられていた。相談者は「有給休暇が取れない期間があるなんて、以前の会社ではありませんでした」と憤っている。
労働者がGWに有給休暇を取りたいといっても、会社は断ることができるのだろうか。労働問題にくわしい大山弘通弁護士に聞いた。
「有給休暇は、理由に関係なくいつでも取得することができます(労働基準法39条)。労働者は、正当な理由かどうか関係なく、休んだり、早退したりすることができます」
大山弁護士はこのように述べる。「いつでも」ということは、GWでも取得してよいわけだ。この春に入社したばかりの新入社員でも、GWに有給休暇を取得できるだろうか。
「それは難しいかもしれません。この年次有給休暇の権利は、6か月以上継続勤務し、8割以上出勤していれば、向こう1年間で10日以上、賃金をもらいながら休めるという制度です。
パートやアルバイトのような短時間勤務の労働者でも、日数は少なくなりますが、年次有給休暇を取得できます。
会社は、労働者に有利なように有給休暇の制度を作ることができるので、新入社員でも取得できるように定めることも可能です。しかし、そのような制度になっていない限り、この春に入社したばかりの新入社員の方は、年次有給休暇の取得条件を満たさないでしょう」
会社で周囲の目が気になって、とりづらいという人もいるようだが・・・
「そうした考えは、もったいないと思います。年次有給休暇は、2年間で時効となってしまい、それ以上繰り越すことができません。
しかも、日本での有給休暇の取得率は50%にも満たない低率です。このような年次有給休暇の制度を利用しない手はありません。
年次有給休暇の取得にあたっては、理由を告げる必要はありませんので、GWであっても当然に休むことができます」
ただ、仕事が忙しい場合、会社が取得時期の変更を要求してくる可能性はないのか。
「会社の『時季変更権』のことですね。会社としては、従業員が突然休むと困る場合もありますから、『他の日にしてくれ』と要求する権利が会社に認められているわけです。
ただし、これは、有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合に限られています(労働基準法39条5項)。
会社の運営を妨げる事情がないのに、労働者の有給取得を妨げることはできません」
大山弁護士はこのように話していた。結局、12連休が認められるかどうかは、仕事の状況しだいのようだ。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大山 弘通(おおやま・ひろみつ)弁護士
労働者側の労働事件を特に重点的に取り扱っている。労働組合を通じての依頼も数多く、もちろん個人からの相談も多い。労働事件は、早期の処理が大事であり、早い段階からの相談が特に望まれる。大阪労働者弁護団に所属。
事務所名:大山・中島法律事務所
事務所URL:http://on-law.jp/