肥満は不健康なばかりか、食費に医療費にと生涯にわたり何かと多くの出費がついて回るため不経済でもある。幼いうちからの正しい食習慣が何より重要だとようやく気付いた肥満大国イギリス。教育者らは学校でのランチタイムでもカロリーダウンをと提唱するのだが、それを阻むのは他ならぬ子供たちの母親だとして話題を呼んでいる。
ロンドン南部に位置するニューアディントンの「ロウダウン小学校」は最近、 “お子さんには弁当とウォーターボトルを持たせて下さい。甘い飲み物はやめましょう”という新しい方針を打ち出した。その理由についてリンダ・シュート校長は、「ジュースやコーラ、砂糖の入った紅茶やコーヒーなど糖分の多いものは体に良くありません。摂らない方がよいでしょう」と説明したという。
しかし、これをめぐりPTAの間で喧々囂々の議論が交わされている。児童の母親の一部が立ち上がり、その新方針に抗議するための嘆願書を作成して学校に提出したのである。反対派の母親であるサマンサ・ムーアさん、ジェンマ・アーウィンさんは「先生方だって自由に紅茶やコーヒーを飲んでいるでしょう。子供たちだってジュースを飲みたいんです。しかも子供に何を飲ませるかを決定する権利は私たち親にあります」と頑なだ。
ロンドンのスクールにおける“甘い飲み物禁止”の先駆けとなったのは、ダゲナムにある「ヴァレンス小学校」であった。そこではエリザベス・チャップリン教頭も同じように母親たちの反論にあって苦労していたため、シュート校長にもその覚悟はあった。「すべては皆さんの大切なお子さんのためです。長期的な視点に立って考えればこれはお子さんの健康のためにとても大切な取り組みです」と語り、自信をみなぎらせている。理解を示してくれる親子も徐々に増えているもようだ。
イギリスではキッズ向け衣料品店に
ポッチャリ体型のマネキン人形が並ぶなど、近年は小児の肥満傾向が特に問題視されている。また成人でも「太り過ぎて動けない」と主張する人々が次々と無職に転じ、しかし優れた社会保障制度ゆえに手厚い保護を受けて暮らしていることから真面目に働いて納税している人々の怒りは増すばかりだ。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)