今年のFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)でプロチームのホンダ・シビックWTCCをドライブするドゥサン・ボルコビッチが、シリーズからの撤退を明らかにした。
セルビア人ドライバーのボルコビッチは、今年のオフにシボレーを走らせるカンポス・レーシングからプロチームへと移籍。新たにホンダ・シビックWTCCへマシンをスイッチしていた。
ただ、身長2メートル7センチと非常に大柄な彼の体は、シボレー・クルーズとバルクヘッドの構造が異なるシビックではきっちりと収まらず、結果、ペダルボックスに足を収めきれないという思わぬトラブルを抱えていた。
彼は、ほんの数周ドライブしただけで足が麻痺してくるという状態で、医師からも開幕戦アルゼンチンのレースに出場しないように勧告を受けていたが、それでも「自分がリスクを負う」とレース出場を強行した。
しかし彼は、先週末のモロッコでマシンのブレーキとダンパーの仕様をめぐる意見の相違のほか、最近父親が他界したことの不安やコクピットへの不快感などを理由にイベントからの撤退を明らかにした。
「父が亡くなって間もない時にモロッコでレースをするという間違った判断をするところだった」とボルコビッチ。
「父のためにも続けたかったが、100パーセント集中することはできないし、この時期にこうした非常識な問題に対処するのは難しいよ」
「こんな状態のマシンをドライブするのは安全ではないし、自分や他のドライバーに問題を与えたくはなかった」
今月22日、ボルコビッチのマネージメントは、彼が2015年のWTCCから撤退したことを発表し、24日に詳しい説明を行うと明らかにした。
昨年WTCCデビューを飾った30歳のボルコビッチは鈴鹿の日本ラウンドで自身初、そしてセルビア人として初めて世界選手権での表彰台獲得を果たしている。