今季、ニュルブルクリンクを舞台に新GT3カー・レクサスRC F GT3の開発を担うことになったファーンバッハー・レーシング。ステアリングを握るのは、ドミニクとマリオのファーンバッハー兄弟だが、レクサスをドライブするにあたっての意気込みを聞いた。
レクサスRC F GT3は、今季からスーパーGT300クラスにも参戦するほか、ヨーロッパでも開発チームが決定。来季からはアメリカでもデリバリーが予定されている。そんなマシンの開発チームのひとつとして選ばれたのが、ニュルブルクリンクの強豪でもあるファーンバッハー・レーシングだ。
ホルスト・ファーンバッハーの息子であるドミニクとマリオは、どちらもレーシングドライバーとしてスポーツカー界では知られた存在。特にドミニクはスーパーGT300クラスにも参戦し、驚異的な勝率を誇った経験ももつ。ふたりは今季初めて兄弟でコンビを組み、レクサスRC F GT3を開発するが、発表会の場でその意気込みを聞いた。
──どのような経緯でこのレクサスのプロジェクトに加わることになったのですか? ドミニク・ファーンバッハー(以下DF):昨年、トヨタやレクサス、TRD、TMGの関係者の方が、僕たちのファクトリーを訪ねて来たんだ。そこで『レクサスRC F GT3を開発する予定で、その開発チームに興味はあるか?』と聞かれ、即答で返事をしたんだ。
──実家はトヨタをはじめ、いくつかのメーカーの自動車販売店を経営されていますが、トヨタ販売店ということで声が掛かったのでしょうか? DF:それもあるだろうね。ウチはレクサスを取り扱っていないけど、ドイツやヨーロッパのレクサスブランドの強化、マーケティングとしてのレース活動も兼ねていて、(同じくRC F GT3を開発する)スイスのエミール・フレイ・レーシングはヨーロッパ最大のインポーターで、トヨタはその中でも代表的なブランドらしいよ。
──今季はRC F GT3の開発テストチームを他の2チームと一緒に担うとのことですが、実質的にどのようなことをするのですか? DF:今季はVLNニュルブルクリンク耐久シリーズに焦点を置き、できるだけ色々なシチュエーションを経験し、データ収集に努めるつもりだ。もちろんそれだけではなく、レースでなるべく上を目指し、ゴールすることも大事だと思っているよ。ノルドシュライフェはクルマ作りにとって、どこよりも絶好な場所だ。クルマも人も多くのことを学べるコースだからね。
──ところで、すでに開発車をテストしたかと思いますが、RC F GT3にどのような印象を受けましたか? DF:僕は今までにいろいろなメーカーのGT3カーをドライブしたし、マシンそのものやパーツやタイヤメーカーのテストもしているけど、このRC F GT3は最初にドライブした時からとても高い信頼性があり、トラブルがほとんどなく、ポジティブな意味で驚いたよ。それに、最初からかなり良いタイムが出て感動さえしたよ。マシンへの仕事ぶりが、日本人のメンタリティを表していると思う。
──今季の目標をドミニク、マリオの両方からお願いします。
DF:僕たち兄弟は生まれた時から実家がトヨタの販売店で、免許を取ってから今もずっとトヨタ車に乗っているんだ。だから、何としてでもRC F GT3をさらに強く、速いマシンに仕上げて、来年には世界中の多くのカスタマーチームが購入してくれて、さまざまなカテゴリーで活躍して欲しいと思っているよ。もちろん、将来的にはニュル24時間レースで総合優勝を狙っているし、日本のメーカーはまだトップに立ったことがないから、RC Fがそこに行けるように開発のお手伝いができるのをとても嬉しいんだ。
MF:やっとテストを経てVLNの第3戦からレースにRC F GT3で参戦できるのが楽しみで仕方ないよ。レーシングカーはもちろんのこと、その技術が市販車にも生かせられるようになれば良いと思っている。日本からレクサスのエンジニアやマーケティングの方が来て、僕たち3チームを全面的にバックアップしてくれているのでとても心強いし、最強のマシンをドライブするファーンバッハー兄弟の活躍を応援して欲しいよね。いつか日本でも、兄のように活躍してみたいと願っているよ。